Jonas Hellborg かんたんバイオ
Jonas Hellborgというと、ジョン・マクラフリンの第2期マハヴィシュヌ・オーケストラに参加していたバカテクベーシストとして名前を知っている人がほとんどだと思います。
スウェーデン出身のエルボーグは、1981年にスイスのモントルージャズフェスに出演したのをきっかけにサックスのマイケル・ブレッカーに知り合いになり、そのブレッカーにジョン・マクラフリン、ビリー・コブハムなどの当時のフュージョンシーンのスターを紹介されたそうです。
この時の出会いがきっかけで、その後にマクラフリンからマハヴィシュヌ・オーケストラに誘われたみたい。結局、1983年から1988年まで再結成マハビシュヌに参加することになります。
ただマハヴィシュヌ・オーケストラ以降の活動はというと、自分名義のアルバムリリースがほとんどで他のミュージシャンのアルバムに参加するわけでも無いし、ファン以外にとってはあまり馴染みの無いかも。
一時期(1988~1993)NYに移住していたみたいですが、その後はずっとパリに暮らしているらしく、アメリカのミュージシャンとの共演も少ないですね。
V Selvaganeshとの出会い
ハマヴィシュヌ後のエルボーグは、アラブパーカッションのGlen Velezやジョン・マクラフリントリオのパーカッショニストであるトリロク・グルトゥと共演したり、民族音楽っぽい指向のアルバムをいくつかリリースしています。このあたりはやはりマクラフリンの影響なのでしょうね。
ただこういったベースとパーカッションのデュオといったレコーディングも地味といえば地味。長くは続かなかったようですね。
エルボーグが自分の活動にインド音楽を取り入れるのは、V.Selvaganeshというパーカッショニストと出会ってから。
彼はこのあとマクラフリンの再結成Shaktiにも参加することになるパーカッショニストです。
エルボーグがSelvaganeshにあったきっかけというのは、1998年パリで(同じくShaktiメンバーの)ザキール・フセインのライブがあり、その会場に来ていたSelvaganeshに出会ったとのこと。
その後エルボーグは、Debashish Bhattacharya, Niladri Kumar, U. Shrinivasといったインド古典音楽のミュージシャンと共演をすることになります。
おすすめアルバム3選
今回は、そんなHellborgとSelvaganeshの共演アルバムからベスト3枚を選びましたよ。
『Good People in Times of Evil』
Jonas Hellborg (bass)
Shawn Lane (guitar)
V Selvaganesh (kanjira, ghatam)
HellborgとSelvaganeshの初の共演アルバムです。
ギターはHellborgと共演の長いテクニシャンギタリストのShawn Lane。テクニカルなジャズロック風の演奏でなのですけど、Selvaganeshも手数の多い細かいフレーズで2人に対抗していますね。
Selvaganeshが演奏するのはカンジーラ(手のひらサイズの太鼓)とガタム(素焼きの壺。父親のVikku Vinayakramはガタムの巨匠ですね)で、オーバーダブしながらパートごとに使い分ける感じ。
『Icon』
Jonas Hellborg (bass)
Shawn Lane (guitar)
V Selvaganesh (kanjira)
V Umashankar (Ghatam)
V. Umamahesh (Vocals)
Selvaganeshの兄弟2人が参加したアルバム。
パーカッション担当が増えたことで音の厚みが増し、ヴォーカルが入ることでインド色がより強まったアルバムです。
Shawn Laneはあまり目立たないですが、クリーントーンのギターでうまくバッキングに徹している感じです。
Hellborg-Selvaganesh-Laneの3人はなかなか相性良さそうで、どういうタイプの曲でも柔軟に弾きこなすことができるヴァーサタイルな組み合わせだったと思いますが、このアルバムをレコーディングしたくらいの時期にLaneが急逝したため、HellborgとSelvaganeshは別の形のグループを模索していくことになります。
『Art Metal』
Jonas Hellborg (bass)
Mattias Ia Eklundh (guitar)
Anders Johansson (drums)
V Selvaganesh (kanjira)
Jens Johansson (keyboards)
Hellborgがスタートさせたもうひとつのプロジェクトが、Art Metalというテクニカル系インストグループ。Mattias Ia Eklundhのディストーションギターがハードロック/メタル色を強めています。
Art Metalではドラムが参加しているため、Selvaganeshのパーカッションは埋もれてしまってほぼ存在感が無くなっていますね。
このアルバムのあと、Art MetalにはRanjit Barotというインド人ドラマーが参加します。
彼はジョン・マクラフリンのグループ4th Dimensionのドラマーでもあり、Selvaganeshに続きまたもやマクラフリン人脈からの起用ですね。