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ダライ・ラマ14世が待望の1stアルバムをドロップ!

1stアルバム『Inner World』

「ダライ・ラマ14世が待望の1stアルバムをドロップ!」 というパンチラインをweb記事で読んでから、何ごとなのかと思っていたこのアルバム。

どうもニュージーランド出身のミュージシャン、ジュネル・クーニンさん&エイブラハム・クーニンさん夫妻が、自身の音楽にダライ・ラマ法王の真言などをサンプリングしたアルバムを作成したようです。

法王の言葉と音楽を組み合わせたものが無いことに気づき、それならばとこのアルバムの制作を法王の側近に打診したところ、法王の承諾が得られたとのこと。

『Inner World』というタイトルで、ダライ・ラマ法王86歳の誕生日に合わせてリリースされる予定で、収益は関連財団へ寄付されるそうです。

先行シングルという形で「Compassion」という曲が聴けましたが、スローテンポのチルいアンビエント風のドローン音に美しいアルペジオフレーズがからまり、そこに法王の言葉がやさしく響くというもの。

ラヴィ・シャンカルの娘であるシタール奏者のアヌーシュカ・シャンカルなどもアルバムには参加しています。

全編にわたりやさしいシンセとベースがゆったりと流れる、いわゆるニューエイジというかヒーリングミュージックで、リラックスしたいときのBGMには良さそう。
ただスパとか岩盤浴のBGMみたいともいえ、ベタと言えばベタ。

法王のお言葉を聞けるということに価値があるのであって、音楽的には特に聴くべきところは少なそうなアルバムですね。

『クンドゥン』

このブログ後半は、ダライ・ラマと音楽で思いつく映画「クンドゥン」とそのサントラの話題

ダライ・ラマについて知りたい場合、彼の自伝と、自伝をもとに撮られたマーティン・スコセッシ監督の映画「クンドゥン」は必須だと思います。
(クンドゥンとはダライ・ラマ法王の尊称だそうです。猊下?みたいな)

映画では、ダライ・ラマ法王を含めチベットの人がみんな英語を喋っているところに最初観た時に「あれ?」となりますが、それはそういうもの。アメリカ人は吹替嫌いなので最初から吹替版映画を作っているつもりなのでしょう。

ダライ・ラマを知るための映画というだけではなく、ひとつの映画として観ても名作中の名作だと思います。
ビッグ・バジェットのハリウッド映画の強みで、チベットの街並みの再現やポタラ宮での祭事など、チベットの人が見ても「驚異的」な細部の作りこみがされているみたい。
ポタラ宮もモロッコに大掛かりなセットを組んで撮影されたそう。

監督:マーティン・スコセッシ

ダライ・ラマ法王の映画を真摯な情熱をもって監督できるハリウッドの大物監督というと、彼くらいだったのかなとも思います。
イエス・キリストを悩める人間として描き、ユダの裏切りを神の使命として描いた「最後の誘惑」や、日本の隠れキリシタンを描いた「沈黙」などある意味では使命感をもって映画を撮ることができる監督だったのだと思います。
こういった映画は興行収入は見込めないことは明白なので、普通の監督は自分のキャリアを考えてやりたがらないと思いますし。

脚本:メリッサ・マシスン

脚本はメリッサ・マシスン。
「E.T」なども脚本も担当したハリウッドの脚本家で、彼女はチベット仏教に帰依している人だそうです。チベット問題関連事情にも精通して、かつチベット仏教への深い理解が感じられる脚本を書けたのは彼女ならでは。
ちなみに彼女はハリソン・フォードの元奥さん(のちに離婚)なのですが、ハリソン・フォード自身もチベット問題への発言で、中国に入国禁止になっていましたね。

撮影監督:ロジャー・ディーキンス

この映画は映像も素晴らしいです。
チベットの雄大な山々から、ろうそくの光に照らされたポタラ宮の内部まで、息をのむほど美しいです。
スコセッシはおそらくカメラの画角とかライティングにこだわりはない人なので(ハリウッド分業スタイルにならって、プロにお任せするタイプ)、撮影監督のロジャー・ディーキンスによる仕事の成果ですね。
ディーキンスは、「ショーシャンクの空に」「007:スカイフォール」「ノーカントリー」などで知られる有名撮影監督で、ポタラ宮の内部みたいな薄暗いシチュエーションのライティングはディーキンスの代名詞ですね。この映画はディーキンスのベスト・ワークなのではないでしょうか。

音楽:フィリップ・グラス

見どころの多い映画「クンドゥン」ですが、フィリップ・グラスによるサントラがとんでもなく素晴らしいです。サブスクで聴ける。

フィリップ・グラスもチベット仏教の帰依者だそうで、そういう理由からサントラの依頼を引き受けてくれたのだと思いますし、作りこみに気合が入っています。
いわゆるハリウッド風のオーケストレーションではなく、印象的なシングルノートが反復して積み重なっていく現代音楽風のスタイルなのですが、映像中のダライ・ラマの心の動きに合わせてダイナミックに変化していきます。チベットの祭事で使われるホーンなどの楽器も違和感なく組み込まれていますね。

「クンドゥン」じたいはセリフの多い映画では無いので、普通の映画よりもかなり音楽が多めに印象的に使われています。

この映画の公開当時(1998年)にも、配給元に対して中国からの圧力があったということです。
当時よりずっと中国資本が入った現在のハリウッドでは、もうこういう映画は撮れないんじゃないかな。

最後に

ダライ・ラマ法王は86歳でまだお元気そうで何よりです。ただ近い将来に自身の後継者問題が起こることは確実です。
インドに亡命している今の状況で「どこから」生まれ変わりを探すのか。
いずれにしてもチベットの人が心休まる日が来ることを願っています。