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Bandcamp United!

Bandcampが存続の危機に瀕しています。

「Bandcampはミュージシャンにとって理想的なプラットフォームだ」という投稿を以前書いたのですが、そのBandcampが以前のような運営を続けることができるのか、ちょうどいまその帰路に立っているところです。

はじまりはさかのぼること2022年3月に、中国企業テンセントを親会社に持つEpic GamesにBandcampが買収されたことでした。

その買収からたった18か月後の2023年9月に、Epic GamesはBandcampをSongtradr社(音楽ライセンスプラットフォーム会社)に売却しました。

2023年10月の時点でEpic Gamesからの売却は完全に終わっていないようですが、Songtradr社はX(旧twitter)で以下の声明を発表しました。

全てのBandcamp従業員がSongtradrからオファーを受けるわけではありません。

現在の財務状況から、Bandcampがアーティストとファンのコミュニティに貢献できる持続可能で健全な企業であるために、ある程度の業務調整が必要です。
今後数週間以内にオファーを受け取らなかった従業員は、9月28日にお知らせした通り、レイオフの一環としてEpicから退職金を受け取ることになります。

Songtradrは、Bandcamp Fridays、Bandcamp Daily、アーティストファーストの収益分配など、ファンやアーティストに愛されている既存のBandcampのサービスは全て維持する予定です。

どうやらSongtradrは、Epic Gamesからプラットフォームとビジネスを購入したそうで、その購入に従業員は含まれていないそうです。Songtradrからオファーのない何割かの社員はクビになる、ということ。

売却を報じるwww.wired.comの記事

はじめてこのニュースを聞いた時も、「まさかこんなことが起こるなんて!」というよりも「やっぱり…」という感想の方が強かったですよね。

BandcampがEpic Gamesに買収された時から、嫌な予感がしてました。
ハン・ソロ風に言うと” I have a bad feeling about this”

Bandcampの従業員は、「Bandcamp united」という名前のユニオン(労働組合)を作ってSongtradr(Epic側)と交渉する予定のようですが、いまだにユニオンとして承認されていないようです。
X(旧twitterでは”Recognize Union(組合を承認しろ)”というメッセージが多くポストされていました。

アメリカでは会社側が自発的に組合を認めない場合、国の関係機関に届けてで、その後に従業員投票で過半数を取れば組合として認められるそうです。

Bandcamp Unitedが申請しているのか、しているとしてどういう状況なのかは不明ですが、近く行われるレイオフに対しては組合は承認されないまま進みそうな雰囲気です。(アメリカでは、そもそも終身雇用のない日本のような影響力は労働組合にはなさそうですが)

最近では、メタやグーグルなどのテック系企業も、概ね人員を削減するのがトレンドのようです。
イーロン・マスクがTwitter社を買収した際に、80%もの従業員をレイオフしました(これは極端な例ですが)

親会社のEpic GamesがBandcampを売却したのは、Epic Games本体の再編のあおりのようですが、Epic Games自体も社員の18%(800人以上)をレイオフしているそうです。

今回のBandcampでは、いったいどのくらいの規模でレイオフされるのでしょうね?

Bandcampの従業員はかつては200人くらいは在籍していたようですが、www.wired.comの記事中には「約120人」と書いてあったので、もしかするとすでにかなりの人材が流出しているのかもしれません。

Epic gamesやGoogleなどは新規の開発案件なども多そうですが、Bandcampじたいはすでにサービスとしては出来上がっているので、(新機能などの拡張などを行わなければ)そこまで人員はいらないような気もします。

例えばDiscogsなどは50人弱の人員で運営しているようです。

もしかすると管理職はSongtradr側から出して、Bandcampの社員としては50人くらいでやるのかもしれません。
(ちょうどいま協議中なので、このあたりは新しい情報がすぐに出てくるかも)

10/17 更新情報

Bandcampの売却が終了し、それと同時にBandcamp従業員の「少なくとも半分」の従業員がレイオフされることが発表されました。

約120人の「少なくとも半分」というと、残るのは50人程度になりそうです。
「事業が維持できるギリギリまで従業員を削減したという印象です」

120人という数字もすでに減っている数字で、数年前までは約200人いたそうですから、その影響の大きさがうかがえます。

10/31更新情報

レイオフの具体的な数字が、Bandcamp United公式から公表されました。

もともといた119人の従業員が60人まで減らされたそうです。事前に公表されていた約半数の割合ですね。

またこの投稿によると、19人いたアフリカ系従業員が4人になり、よりレイオフの割合が高かったとのこと。うーん、、

 

こういった話は「アメリカ社会では良くあること」なのかもしれませんが、レイオフは結局のところ企業の収益のためであり、企業が収益を追い求めることはBandcampであっても例外じゃないのかもしれません。

ただ、Bandcampのようなプラットフォームが利益を追い求めていくと、行きつく先は収益分配の改定などにもつながる可能性のある動きだと思います。

収益分配については、現状は売り上げの80-85%がアーティストに渡ると言われていて、Songtradrは「アーティストファーストのを全て維持する」と言っているのですが、その言葉がこの先も守られる保証はどこにもないのです。

村上春樹さんの小説にこんな一説がありました

「立派な王国が色あせていくのは、二流の共和国が崩壊する時よりずっと物哀しい」

Bandcampのようなプラットフォームがまさに色褪せようとするのを見るのは物哀しいものです。
こういう存在が、この先も世の中にひとつくらい残っていてもバチは当たらないと思うのですけどね。