Bab L’ Bluz リアルワールドから現れた グナワ新世代のトランスミュージック

先日、海外のワールド系webサイトを眺めていたのですが、バブ・ルブルーズ(Bab L’ Bluz)というグループがRealworldレーベルからリリースしたデビューアルバム『Nayda!』が話題になっていました。

バブ・ルブルーズはフランス人とモロッコ人の混成グループで、モロッコのグナワを現代的にアレンジした演奏を行うグループとのこと。

Personnel
Yousra Mansour (Lead vocals, awisha)
Brice Bottin (Guembri, guitar)
Hafid Zouaoui (Drums)
Jérôme Bartolome(Flute)

アルバムタイトルの「Nayda」という言葉は、若い世代による音楽ムーブメントのことを指すらしく、アラブ系の方言であるダリジャ語で歌われ、ファンキーなリズムやベースのヘヴィーなグルーヴなどが特徴で、バブ・ルブルーズもまさにそういうムーブメントの中から現れたと言えます。

なんと言ってもドラムセットとクランチのかかったギターが特徴で、(メンバーにベーシストはいないですが)ベースのような低音も聴こえます。グナワ/アフリカンリズムがメインなのですけど、聴きようによってはロックといえるかも。
ティナリウェンがブルースを自分たちの音楽に取り入れてきたように、バブ・ルブルーズはロックを取り入れているような印象もありますね。
トランシーでサイケで適度に「ユルい」感じがクルアンビンやアルタン・ギユンみたいなグループとの比較もされているようですね。

あと、なんといってもこのグループの魅力はヴォーカルのユスラ・マンスールです。
グナワといえばヴォーカルは男性(たいていはよぼよぼのじーさん)なので、まずグナワで女性が歌うという点からして新鮮味があります。
トランシーで延々と続くループの中で、徐々に表情が変化していくヴォーカルは素晴らしいです。単調にならず飽きさせないし、デビューアルバムとは思えない手慣れた感じですね。

Gnawa / Nayda

グナワというと「トランシー」で「サイケ」な音楽という紹介がされて、「延々と繰り返されるリズム」が特徴です。

音楽的には延々と同じスケールでつづく曲調が「ずっと終わらない感じ」を演出していて、ヴァースやコーラスといった起承転結のあるポピュラーミュージックに慣れた人には新鮮に聴こえたのかも。
ちょうどそれはモダンジャズがモードへと移り変わっていったように、わかりやすい予定調和な音が避けられるようになったのでしょうね。

グナワに傾倒するミュージシャンは多く、かつてブライアン・ジョーンズやレッド・ツェッペリンなどがグナワへ接近したのは(ドラッグなどとも関係する)ヒッピー文化と結びついたのも要因としてありそう。
もう少し最近の話では(その終わりそうで終わらない曲調の親和性から)「トランス」みたいなクラブミュージック側からもグナワは注目されてきました。
James Holden、Floating Points、Vessel、Biosphereがグナワ音楽のマスターであるMahmond Guiniaと共演したりしています。

ただまあ、こういった西洋人のグナワの取り上げ方って、単に「文化盗用」だと言われて批判されてしまうのだと思いますが、実際どうなんでしょうね?
ぶっちゃけみんな「グナワ、めっちゃやばい!」みたいなノリのようにも思えるので。

リアルワールド、期待の新人

リアルワールドレーベル(というかワールド系音楽)は、かつて(1980~90年代)のような盛り上がりをみせている訳ではないですし、レーベルが発掘してきた新人がデビューするなんて少ないように思います。
ほとんどすでにアルバムリリースしているアーティストの2枚目、3枚目、、といったアルバムが多いみたい。

そんな中でのバブ・ルブルーズのデビューアルバムリリースというのは、何かレーベルの期待の表れというか、本気をみた気がしますね。