Tomeka Reid Quartet 『Old New』レビュー

各メディアで、2019年のベストアルバムが各メディアで発表されています。
今年になってSNSをチェックするようになって気づいたのですけど、ジャズ専門誌だけでなくNYタイムスなどのニュースメディアもジャズの年間ベストを発表したりしていますね。

今日取り上げるアルバムは、LAタイムスの年間ベスト1に選ばれていたTomeka Reidのアルバム『Old New』。2015年「Tomeka Reid Quartet」に続くグループ2枚目のアルバムです。

このアルバムはLAタイムス以外の他のメディアでも高評価が多く、目立っていた作品ですね。
正直に言いますと未チェックだったんですよ。サブスクにはアップされていないアルバムですね。

Tomeka Reid Quartet 『Old New』


Tomeka Reid(Cello)
Mary Halvorson(guitar)
Tomas Fujiwara(drums)
Jason Roebke(bass)

それにしてもTomeka Reidというのはトミカ・リードと読むのだろうか?
検索するとタミコ・リードというカタカナ表記が出てくるのだけど、Tomekaをタミコって読むのは違和感があるのだけど、本人がそう発音しているのか、、正解がわからないのでここではTomeka Reidで統一しますね。

これはなかなか硬派な即興演奏をプレイするアルバムですね。
チェロがリードしてソロを取ったりとか周りがバッキングをしたりとかいう、いわゆるオーソドックスなジャズのスタイルとは全く違いますね。

チェロ、ギター、ベースという弦楽器3人が対等に位置して相手に反応した音を出し、それをドラムが後ろから後押しするイメージ。
弦の響きがきれいに混じりあってアンサンブルを奏でるヴァイオリン、チェロ、ベースのような組み合わせを避け、あえてギターという異質な音を入れることが音の緊張感を生んでいます。

これに近いテイストというのアルバムというと、ビル・フリゼールの「Is That You?」とかかな。こちらは(表面上は)もっとリラックスした感じでしたけど。

あと、かなり作曲にウェイトが置かれたグループですよね。ちなみにこのアルバムは全曲、Tomeka Reid本人による作曲です。
かなりひねって書かれた曲がベースにあって、即興でうまくカラーリングしていってます。どこまでが作曲なのかどこまでが即興なのかわからない。
このあたりの特徴は、メアリー・ハルヴォーソンがリーダーのアルバムにも通じるところがあります。

最後にメアリー・ハルヴォーソンとのアルバムの活躍から、トマ・フジワラはイチ押しなのですが、このアルバムではインタープレイに徹した割と控えめなプレイです。
彼の良さはもっとスピーディーな曲でビシバシ叩くところだと思いますが、意外な引き出しの多さも見せてくれていますね。