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ジョシュア・レッドマン・カルテット「RoundAgain」

2020年7月にジョシュア・レッドマン・カルテットがリリースした「RoundAgain」は、「MoodSwing(94年)」のメンバーが26年ぶりに再会してレコーディングを行うというプロジェクト。
話題のアルバムなので、web記事でたくさん説明は読めると思いますので、今日のブログは聴いた感想とちょっと雑談です。

Personnels
Joshua Redman (Tenor and Soprano sax)
Brad Mehldau (piano)
Christian McBride (bass)
Brian Blade (drums)

今となっては、それぞれのメンバーが各楽器のトップ・オブ・ザ・トップスに位置するスーパーバンドですね。
2019年のグラミー賞では、このメンバーのうち3人のアルバムがノミネートされていました。
Christian McBride 「Christian McBride’s New Jawn」
Joshua Redman Quartet「Come What May」
Brad Mehldau「Finding Gabriel」
※受賞はブラッド・メルドー

アルバムを聴いた感想に関しては、もうこのメンバーでの演奏なので特に何も言うことないです。すごく良いです。

ブラッド・メルドーのちょっと意表をついてくる和声や、端正でよどみが無く余裕を感じさせるレッドマンのサックス、そしてなんといってもマクブライドのグルーヴ感あふれるベース。
マクブライドは最近こういうオーセンティックなジャズでの活動は少な目だと思いますけど、「え?こんなことアコースティックベースでできるの?」と思わせるテクニックといい、やっぱりマクブライドは格が違うなーという印象です。
えー、ドラムのブライアン・ブレイドはわたしにはちょっと良さがわかりませんが、、

あくまでジョシュア・レッドマン・カルテット

94年の「Mood Swing」は名義上はジョシュア・レッドマンのアルバムだったようですね。
当時はジョシュアは(父親の知名度とモンクコンペ優勝の話題で)他のメンバーに比べてもネームバリューがあったのだと思います。

今回の「RoundAgain」についても、関連記事などを読んでみてもジョシュア主導ではじまったみたいです。

2020年になって各メンバーはそれぞれビッグネームになったのですけど、今でもこの中ではジョシュアが(特にジャズを良く知らない層には)いちばん知名度があるのでしょうね。まぁサックスプレイヤーは目立ちますし。

「RoundAgain」のアルバムの内容を聴いても近年のジョシュアのアルバムに近いと思いますし、ジョシュアがやりたかったプロジェクトなのでしょうね。
じっさい本国アメリカではこのアルバムはジョシュア・レッドマンのアルバムだと捉えられているのだと思います。

「これが ”メジャーな” ジャズ」

ちょうどこの「RoundAgain」と同じ時期に、R・グラスパー、カマシ・ワシントン、テラス・マーティンによるアルバム「Dinner Party」がリリースされて、どうしても「この2枚がどっちも”ジャズ”だと言われて、ジャズファンに聴かれている状況ってどうなんだろうな?」とは思うんですよね。

ジョシュア・レッドマンが「ジャズ」ならR・グラスパーとカマシは「ジャズではない何か」だし、R・グラスパーとカマシが「ジャズ」ならジョシュア・レッドマンは「ジャズではない何か」になると思うんですけどね。
「いや、ジョシュアもグラスパーもカマシも全部ジャズだろ」という感覚は、「それはおおざっぱすぎるのでは?」とも思うし。

ジョシュアって、「ジャズ」のフレームを常に意識して、そのセンターポジションにいることを目指してきた人なんでしょうね。
自分の存在がメジャーだと自覚しているからこそ、シーンをひっぱる責任があると感じているみたい。
「自分の好きな音楽をただプレイするだけ」とかそういう無責任なことは言わず、「ジャズとはこうあるべき」という音をファンの期待にこたえつつ演奏してきたと思います。
しかもつねに時代の半歩先を進みながら(1歩先だとファンはついてこれないので)

「RoundAgain」はそういったジョシュアの美学がフルに発揮されたアルバムに思えます。

たとえばマクブライドやメルドーは、おそらくやりたい音楽をやりたいようにレコーディングしたようなアルバムもけっこうありますね。
そういうアルバムを聴いて「なにこれ??」と思うこともあります。ジョシュアはそういうことはやらない。

ただ、かつてはそういうジョシュアの心意気みたいな部分が「押しつけがましいなぁ」と一部のファンに反感をかったとも聞きますし。
スキがない”ちゃんと”している演奏を「これがジャズなんです」と言われると、ジャズファンはこれまで聴いてきた自分が好きな音楽を否定されたと感じたのかも。
村上春樹さんがコラムで(パット・メセニーと共演した時期の)ジョシュアを「お行儀が良すぎて聴いててつまらない」とたしか言っていましたね。
まあ、この辺はウィントンと同じなのだと思いますけど。

ただ、今ではもうジョシュアのことを「お行儀が良くてつまらない」とか言う人はいなさそうですし、時代も変わったな、と思います。

Jazz
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サナコレ