マイカ・トーマス(Micah Thomas)『Piano Solo』

1997年生まれの新進ピアニスト、マイカ・トーマス(Micah Thomas)のアルバム『Piano Solo』の紹介

マイカ・トーマスは、ジュリアード音楽院のジャズ学科で学び、2020年に音楽修士号(M.M.)を取得しています。
その後に本格的に演奏稼働をはじめ、2020年にはソロアルバム『Tide』をリリースしています。このアルバムは本ブログでも取り上げました→こちら
2020年からコロナパンデミックまっただ中になったので、おそらくデビューしていきなり仕事がなくなるといった厳しい状況だったんじゃないかと思いますね。

彼のデビュー後の仕事でもっとも特筆すべきは、ソロアルバムと、イマニュエル・ウィルキンスのレギュラーカルテットでの仕事じゃないでしょうか。
2020年にリリースされたウィルキンスのデビュー作『Omega』、今年2022年の2作目『The 7th Hand』の2作はかなり話題になった作品でした。
特に今年の『The 7th Hand』は、年末のベストアルバムセレクションなどでは上位に来るんじゃないかと思います。

このウィルキンスのカルテットは、サックスのウィルキンスとドラムのサンブリーが突っ走るタイプのグループみたいなので、マイカ・トーマスのピアノはそこまで目立っていないと思いますが、所々で「おっ」と気になる演奏を挟み込んでいた印象です。

イマニュエル・ウィルキンスとの仕事の他には、ギタリストのラーゲ・ルンドや、サックス奏者のZoh Ambaと共演したりしているようです。

今作の『Piano Solo』はタイトルからわかるようにソロピアノアルバム。

前作『Tide』が全曲マイカのオリジナル曲だったのに対し、今作はほとんどが「The Way You Look Tonight」「All The Things You Are」といったかなりベタなメジャーなスタンダード曲で、一部「Koko」「Ugetsu」といったバップナンバーも取り上げられています。

現在のジャズは「作曲ありき」だと思うので、これはかなり意外でしたね。
「ここまでがテーマ、さあここからがソロ」みたいな区分はなくて、言ってみればテーマをカッコよく演奏しているだけのようにも聴こえるのですが、原曲の良さをなるべく残そうとしているみたいで、聴きいってしまいます。

そんなにピアノソロのアルバムって聴いてきた記憶はないですけど、今まで聴いた中では一番好きかもしれません。

キース・ジャレットほど「おいてけぼり」にされている感覚もないし、セシル・テイラーほど「わけがわからない」感じもしない

アップテンポでテクニカルな曲も良いですけど、”Solitude”のようなスローナンバーはさらに美しいですね

Micah Thomas『Piano Solo』

1.The Way You Look Tonight
2.Over The Rainbow
3.Koko
4.Estate
5.Cyclic Episode Humpty Dumpty
6.Solitude
7.April In Paris
8.Ugetsu
9.Ruby, My Dear
10.More Than You
11.All The Things You Are
12.The Man I Love

マイカ ? ミカ?

Micah Thomasのファーストネームの読み方について「マイカ」か「ミカ」か、SNSなどを読むとどちらの読み方をしている人もいるのですが、この動画で本人が「マイカ」と言っているのでこのブログでも「マイカ」にしています。