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ジョン・ゾーンが描くフランスの「呪われた」アーティストたち

Tzadikレーベル7月の新作は、ジョン・ゾーン名義によるアルバム『Les Maudits』

タイトルの『Les Maudits』というのは「呪われた」という意味を持つようで、劇作家アルフレッド・ジャリー、詩人シャルル・ボードレール、画家ポール・ゴーギャンにそれぞれ捧げられた3曲を収録した作品。
1. Ubu
(ジャリーの戯曲の登場人物であるKing Ubuのこと。伊藤貞司『King Ubu』というアルバムがかつてTzadikからリリースされていましたね)
2. Baudelaires
3. Oviri
(Oviriというのはタヒチ語で「野蛮人」という意味らしいです)

このアルバムのような、20世紀初頭のヨーロッパの前衛的な実験(ダダ、シュルレアリスム、不条理、ポストモダンなど)に対するゾーンの関心は、これまでの作品でもいたるところで聴くことができます。(ただ個人的にはこういったカルチャーにあまり関心はないのですが、、)

ゾーンには、19世紀のフランス詩人アルチュール・ランボーへオマージュを捧げた『Rimbaud』(2012)というアルバムがあるのですが、コンセプト的にはこのアルバムの延長線上にあると言えるかも。

1曲目”Ubu”は、Zorn本人、Simon Hanes、Ches Smithという3人がさまざまな楽器を担当し、ファイルカード的に曲調がめまぐるしく入れ代わる曲。
2曲目”Baudelaires”と3曲目”Oviri”は,David Fulmer指揮のInternational Contemporary Ensembleによる室内楽。
となっているのですが、やっぱり聴きどころは1曲目の”Ubu”ですかね。

Personnels of ”Ubu” 
John Zorn (sax, organ, piano, percussion, vocals)
Simon Hanes (guitars, bass, piano, accordion, cello, percussion, toilet, jew’s harp, whistling, vocals)
Ches Smith (vibes, glockenspiel, haitan tanbou, percussion, vocals)

この”Ubu”ですが、いやそれにしても素晴らしい出来だと思います。ここ数年のゾーンのソロ・コンポジションの中では最高の部類に入ると思っています。
(おそらくSimon Hanesの)絶叫スクリーミングやベース、ゾーンのオルガンや(たまの)サックスが響き渡り、ファイルカード的な急展開が満載な曲です。
コブラみたいなゲームピース曲には無い統一感とドライブ感が満載。
いたるところに不気味で不穏な雰囲気に満ちていて、聴いているとざわざわした気持ちになるのですが、、

こういう新しい感覚はSimon Hanesという人とのコラボで生まれたんですかね。
サイモン・ヘインズはカリフォルニア生まれ、ブルックリンを拠点に活動する作曲家、演奏家、編曲家のようです。ゾーン関連の現代音楽ミュージシャンとの共演なども多い人みたいで、Bagatellesにも参加しているようです。
またノイズ・スラッシュ・トリオ”Trigger”のメンバー(ベース担当)のようです。

『Les Maudits』はTzadikレーベルで当然サブスク配信はないため、このTriggerの「Pull」というアルバムを紹介
これを聴くと、”Ubu”の曲にSimon Hanesのテイストが入っていることが良くわかると思いますね。