レイク・ストリート・ダイヴ『Obviously』レビュー


最近SNSで知ったグループ、レイク・ストリート・ダイヴ(Lake Street Dive)の新作『Obviously』がすごく良いんです。

レイク・ストリート・ダイヴはボストンで2004年に結成された4人組バンドで、これまでまったく名前は聞いたことなかったのですが、2021年3月のビルボード・セールス・ランキングで5位になったというニュースをSNSで知りました。

ロブ・ゾンビ、ニック・ジョナス、セレーナ・ゴメス、テイラー・スウィフトに次いで5位、ビリー・アイリッシュよりもハリー・スタイルズよりもランキングが上ということで、まさに「いまアメリカでガンガン売れてるバンド」と言っても良いのかも。

アメリカの音楽リスナーはトータルで考えるとセンス無い人たちだと思いますけど、こういう音楽が売れているというのはさすがというかすそ野の広さを感じます。

タイトでグルーヴ感あふれる演奏、聴いてて楽しくなる曲とアレンジ。最高じゃないですか。
「それ普段着でしょ!」と言いたくなるステージ衣装や、屋外での演奏を撮影するだけのお金をかけないMVとか、メンバーのキャラも大好きになりますね。

レイク・ストリート・ダイヴの音楽は「マルチジャンル」と形容されるようにカテゴリ分けが難しいグループですね。モータウンとかああいったクラシックなポップスに近いのかもしれないですけど。
もともとメンバーの4人はボストンのニューイングランド音楽院のジャズ科に在学中に出会ったそう。
メンバーは
レイチェル・プライス (ヴォーカル)
マイク・オルソン (トランペット、ギター、オルガン、シンセサイザー)
ブリジット・カーニー (アップライト・ベース)
マイク・カラブレーズ (ドラム)

ニューイングランド音楽院はアメリカで最難関の名門音楽大学と言われるくらいですから、4人ともかなりハイレベルな音楽的な教育を受けたメンバーみたいです。
今の彼女らの演奏はジャズとはかけはなれたスタイルですけど、演奏技術が高いことは良くわかりますね。
ヴォーカルのレイチェル・プライスはオールドスタイルのジャズが歌いたかったみたいですが、「他のみんなはフリーやアヴァンギャルドな演奏ばっかりで、居心地が悪かった」とのこと(そりゃそうだろう)

卒業後にそれぞれ個別に活動していたそうですが、2012年、ボストン郊外の街角でジャクソン5のヒットナンバー「I Want You Back」のカバーをパフォーマンスする彼女らの映像がYouTubeで話題となったことをきっかけにグループとして活動をはじめたそうです。

その後、アルバム『Side Pony』(2016)でノンサッチ・レーベルと契約してメジャーデビューすることになりますが、レーベルカラーというか彼女らリスナー層はいわゆる「アメリカーナ」を聴いている層と重なっている感じ。
たとえばアラバマ・シェイクスとか、リアノン・ギデンズ、パンチ・ブラザーズなどを聴いているリスナーが、おそらくレイク・ストリート・ダイヴを聴いているんじゃないかな。

最近では、同じくニューイングランド音楽院で知り合ったギタリスト/ヴォーカリストのVilrayとともに『Rachael & Vilray』というアルバムで、レイク・ストリート・ダイヴと違うジャズボーカルを聴くことができますね。

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