ブランドン・シーブルック(Brandon Seabrook)『Brutalovechamp』

音楽に関するブログをやっていると、投稿文を書いている間は、だいたいその音楽に関係した音源を聴き続けることになるので、ブログをはじめてから聴く音楽の量がすっかり減ってしまいました。

そうすると、手当たり次第に音源を聴くことも少なくなるので、WebとかSNSなどからある程度の予備知識を入れた状態で音源を聴くことがほとんど。

実際に音源を聴く前になんとなく「こういう感じの曲だろう」というイメージがあるわけですが、そのイメージから外れるとたいていは「気に入らない」ことが多いわけです。

今日取り上げるのはギタリスト、ブランドン・シーブルック(Brandon Seabrook)の新作『Brutalovechamp』

リリースは、ピアニスト、クリス・デイビスのレーベルPyroclastic recordsから。

このアルバムは音源を聴く前の先入観を良い意味で裏切られたアルバムですね。思ってたアルバムとぜんぜん違いましたが素晴らしいアルバムです。

シーブルックというと、パンキッシュな見た目で、まわりがどんな演奏をしようと不協和音満載のとがったハードなギターを(痙攣しながら)弾くギタリストというイメージを持ってたのですよね。
リーダー作はほぼ聴いたことなかったのですが、なにか「破天荒な音」を求めて録音に呼ばれることが多いような。
(こういうのはただの自分の先入観だったのかもしれないですが)

演奏はチェロの音色などのクラシック風味と、ざわざわとうごめく不穏な低音のビートと、シーブルックの特徴的なアウトフレーズが混在となって移り変わる、そんな感じの演奏です。
いろんな音楽の要素を含んでいるようで、カテゴリわけしづらいジャンルレスな音楽でもあると思いますね。

ジャズのように型にはまってないし、アンビエントのように退屈でもないし、クラシックのように味気なくない。
こういうの、かなり自分の好みのタイプですね。

すべてシーブルックが作曲しているのですが、演奏も曲ありきというか、各メンバーの演奏もかなりシーブルックの指示が入っているような印象です
クラシック的な音から、電子音(Chuck Bettisという人の演奏らしい)までがシームレスに移り変わっていくさまは聴きごたえあります。

どういうレコーディングだったのか動画で見たいのですけど、アップしてないのですよね。かなり録音後に編集が入っているアルバムなのかも。

メンバーはこちら
Marika Hughes、Eivind Opsvikといったメンバーがなんとなくシカゴ・コネクションっぽいですね。
シーブルックはところどころバンジョーも弾いています。

Brandon Seabrook – Guitar, Mandolin, Banjo
Nava Dunkelman – Percussion, Glockenspiel, Voice
Marika Hughes – Cello
Eivind Opsvik – Contra Bass
Henry Fraser – Contra Bass
Chuck Bettis – Electronics, Voice
John McCowen – Contrabass Clarinet, Bb clarinet, Alto and Bass Recorder
Sam Ospovat – Drum Set, Chromatic Thai Nipple Gongs, Vibraphone, Concert Chimes

このアルバムはシフティング財団という機関からの助成金の助けもあってレコーディングできたそうです。

Pyroclastic recordsという非営利団体のレーベルの存在もそうですけど、こういうアルバムがマーケットベースの予算で作ることのできない状況というのはいろいろ考えさせられますね(クラシックは昔からそうなのかもしれないですが)