Brad Shepik バルカンとジャズを越境するギタリスト

それにしてもBrad Shepikとヴィゴ・モーテンセンはすごく似てませんか、、

こっち↓がBrad Shepik

http://www.vortexjazz.co.uk/

こっち↓がヴィゴ・モーテンセン

https://www.dialogues.org/

というのはどうでも良いのですが、今回はBrad Shepikというギタリストの紹介です。

Brad Shepik : 越境するギタリスト

ジャズミュージシャンが他の音楽(インド音楽、中東音楽、クレズマー/ユダヤ音楽など)を取り入れる例は割とたくさんあります。
ブラッド・シェピックはそういったボーダーレスなジャズミュージシャンの代表格で、自分にとってはシェピックはまさにスーパースター、別格的なギタリストと言って良い存在です。
「彼が参加してアルバムはもう全部聴きたい」と思うほど大好きな数少ないミュージシャンですね。

バルカン音楽+ジャズ

彼が強く影響を受けた音楽は東ヨーロッパ / バルカン音楽のようで、特にブルガリアのイヴォ・パパゾフのウェディング・バンドなどに近い印象です。
もともとシェピックはサックスを演奏していたそうで、若いころパパゾフみたいな音楽にハマったのは間違いありません
(シェピックはパパゾフのバンドメイトであるユーリ・ユナコフと共演もしています)

動画はイヴォ・パパゾフの最近の映像

Pachora, Tiny Bell Trio, Paradox trio

シェピックが参加したPachora, Tiny Bell Trio, Paradox trioといったグループを聴くと、シェピックがグループのエスニックな雰囲気を演出していることが良くわかります。シェピックがいなければ、どのグループの存在しなかったはずです。

Pachora , Paradox trioはknitting factoryからリリースされており、サブスクには未対応(2019年現在)ですね。この2つのグループがまさにシェピックのエスニック的な良さが全開なので音源をアップしたかったのですけど、、

Tiny Bell Trio

Dave Douglas (tp)
Brad Shepik (guitar)
Jim Black (drums)

このグループはDave Douglasがリーダーのためか、民族音楽っぽさは薄めのアヴァン・ジャズ。テイストは違えどこちらも素晴らしいです。

Brad Shepik ソロワーク

シェピックが参加していたグループのアルバムも素晴らしいですが、その間にリーダーアルバムも割とたくさんリリースしていますね。
彼のソロはだいたいアルバムの傾向から3つに分けることができますので、それぞれの代表作を挙げてみますね。

バルカンジャズ : 「The Well」

Brad Shepik (guitar, saz)
Peter Epstein (alto/soprano sax)
Michael Sarin (drums)
Skuli Sverrisson (bass)
Seido Salifoski (Percussion)

Pachora,Paradox trioのメンバーも参加していたりして、グループの延長線上のような位置づけのソロアルバムですね。当然、作曲もシェピックによるものが多く、グループの制約を取り払った演奏が聴けます。

それにしてもこのアルバムでも参加しているParadox Trioでも活躍していたSeido Salifoskiはいまどこで何をしているんでしょうね?
NYのアヴァンギャルドジャズシーンで、ダルブッカなどの本格的なアラブパーカッションを演奏するプレイヤーはほぼおらず、貴重な存在だったのですが、、

「Short Trip」:ストレートアヘッド・ジャズ


Scott Colley (bass)
Brad Shepik (guitar)
Tom Rainey (drums)

シェピックは、特に初期のアルバムでは、ギター・トリオによるジャズアルバムもリリースしていました。
ベースはScott ColleyやDrew Gress、ドラマーがTom Raineyが多かったようです。
「ギタートリオによるジャズ」と聞いてイメージするそのままの音なのですけど、凄腕テクニシャン(特にレイニー)との共演という事もあり、かなり強力なアルバムに仕上がっています。

「Place You Go」/オルガンジャズ


Brad Shepik (guitar)
Tom Rainey (drums)
Gary Versace (organ)

ここでOrganを弾いているのはGary Versace
SNSなどでたまに名前を聞くオルガン・プレイヤーなのですが、彼と共演して以来、シェピックのアルバムではオルガンの比重がグッと上がった感があります。
最新作「Top Down」(2016)も彼を含むオルガントリオでのリリースになります。
もはやオルガンジャズのスタンダードになってる「グルーヴしないオルガンジャズ」ですね。

それにしてもシェピックは2016年以アルバムのリリースがありませんね。アルバムどころか、彼の話題すらほとんど聞きません。
このブログをはじめてから「何か話題があったらアップしよう」とずっと思っているですけどね。。