アンジェリカ・ニーシエの新作はピアノとのデュオアルバム

サックス奏者アンジェリカ・ニーシエ(Angelika Niescier)の新作『Soul in Plain Sight』がリリースされていました。
ピアニストのアレキサンダー・ホーキンス(Alexander Hawkins)とのデュオによるアルバムです。

アンジェリカ・ニーシエは、クリス・トルディーニ(bass)、タイショーン・ソーリー(drums)とのトリオがすごく好きで、このブログでもこのトリオのアルバム『The Berlin Concert』について書いたりもしていました。
アンジェリカはとにかく音数が多くて、それでいてひとつひとつの音をパキパキと明確に鳴っていて、まるでサックスの音ですべてを埋め尽くすような演奏が聴いていて快感です。
聴いていると、スポーツを観ていて一流のアスリートが並外れた動きをするのを見ているような感覚をおぼえたりもします。

共演者のアレキサンダー・ホーキンスというピアニストは全く初耳でした。
アンジェリカはJazzfest Berlinというフェスで『The Berlin Concert』をライブレコーディングしたのですが、このフェスにホーキンスもワダダ・レオ・スミスとのデュオで出演していたそうで、そこで二人は出会ったそうです。
そこから数回のライブを経てこのアルバムがレコーディングされたとのことで、まだかなり出来たばかりのユニットのようですね。

そういう訳であまり動画なども無いのですが、唯一このアンジェリカのインタビューの後半部分にライブ映像を見つけました(アルバム収録の「Arhythm Songy」という曲を演奏しています)

この動画を見るとよくわかりますが、かなりの部分で楽譜をもとに演奏されているようですね。
ドラムもいなくて(スウィングビートみたいなジャズ的なリズムもなくて)、ソロもインプロもほとんど無い感じで、これってもうジャズ的な要素はほとんど無いような気もしますね。

パッとこのふたりの演奏を聴いて、いちばん近いと思ったのは吉田達也さん/小埜涼子さんのSax Ruinsかな。
疾走感のある曲のなかで、複雑な展開を見せるパートをバシバシとアンサンブルでキメるところなんか。
まあこのアンジェリカ・ニーシエとアレキサンダー・ホーキンスのコンビはSax Ruinsほど過激ではないですけどね。

追記

アンジェリカ・ニーシエは、ドイツを中心に活動していることもあり、現在はメールス ジャズフェスティバルのレジデント・アーティストをやっているようです。
メールス は2021年のライブは観客がほんの少しだけしか入れずほぼストリーミング配信になったりもしたのですが、オフステージのセッション動画を見つけました。
Mostly Other People Do the KillingのドラマーKevin Sheaと、キーボード奏者のMatt Mottel と共演してますね。