アンジェリカ・ニーシエ『Beyond Dragons』

ポーランド生まれのドイツ人アルト/ソプラノ・サックス奏者、アンジェリカ・ニーシエ(Angelika Niescier)の新作『Beyond Dragons』

彼女は最近では主にヨーロッパ(ドイツ)で活動をしていて、特にコロナパンデミック中はあまり音沙汰を聞かなかった(メールスジャズフェスでレジデント・アーティストを務めたりしていました)のですが、今回はアメリカのミュージシャンとの新しい編成によるレコーディングです。

『Beyond Dragons』メンバー(女性3人ですね)
Angelika Niescier: Alto Saxophone
Tomeka Reid: Cello
Savannah Harris: Drums

うーん、ニーシエはすごく好きなんですよね。ファンと言って良いかも。

これまでの彼女のアルバムの中で、彼女の良さがもっとも聴けるのは、Tyshawn Sorey とChris Tordiniによるサックス・トリオ(ニューヨーク・トリオというようです)だったと思います。
ピアノのアレクサンダー・ホーキンスとのデュオやクインテットなど、いろんな編成での演奏をトライしているようですけど、メインはトリオ演奏だと思いますが、今回のトリオが今後も続くグループになっていくんでしょうかね?

編成はやっぱりチェロ入りというところが注目で、このブログでも取り上げた7 poets trio でもそうでしたけど、トメカ・リードは最近ではベーシスト的な役割を担うことが増えているみたいです。
このアルバムでもいわゆるサックストリオに近い演奏になっているようです。

このトリオでの演奏動画はこれくらいのようです(少ないなあ)


ちなみにこのアルバムはトメカ・リード参加ということで、シカゴ録音だそうです。
このアルバムのBandcampページには(シカゴジャズ界の大御所的な?)ニコール・ミッチェルの推薦コメントが載っていました。

サバンナ・ハリスというドラマーの女性は今回初めて名前を知りました
音圧は低めでプレイの引き出しは少なそうですが、限界までフレーズを細かくして叩くスタイルは、ニーシエの密度の高いサックスプレイと相性は良いような気はします。こういうドラムプレイは割と好きかも。

ニーシエの良さは、テンション高めで、聴けばすぐ彼女とわかるほどハイスピードでテクニカルなフレーズをとめどなく吹くところ。
かつてのニューヨーク・トリオでは、ニーシエのサックスにドラムとベースの2人が真っ向勝負していた気もしますが、今回は割とさらりと受け流す感じが新鮮ですね。

余談

このトリオの新作はガーディアン誌にも取り上げられていましたね。彼女のようなミュージシャンが大手紙に取り上げられるってけっこうレアかも。