Jamie Baum Septet『What Times Are These』

フルート奏者ジェイミー・バウム率いるJamie Baum Septet+による2024年新作アルバム『What Times Are These』

ジェイミー・バウムは基本的にはクラシックとジャズの人だと思いますが、過去にはエスニックなテイストのアルバムを作っていたりして、このブログでもとりあげていました

今回のアルバム『What Times Are These』は、自身のフルートは控えめに、ゲストによるポエトリーリーディングとコンテンポラリージャズを合わせるというコンセプトのアルバム

そう聞くと「あまり自分の好きなタイプの音じゃないかも」と思ってしまいましたが、予想に反してなかなか良いアルバムです

ここ数年は、アルバムの制作方法やメンバー構成などにコロナ・パンデミックが大きく影響されてきましたが、このアルバムもそんな1枚のようです
当時の彼女はアメリカ・ツアーがキャンセルとなり、自宅に帰った後に”Poet Day”というポッドキャストを聴いたことをきっかけに、このアルバムの元となる曲を書きはじめたそうです
*2024年になると音楽の世界でもパンデミックは「過去の話」になりつつありますが、レコーディングされリリースを待つアルバムの中には、まだちらほらこうしたアルバムもありますね

アルバムではTheo Bleckmann, Kokayi, Sara Serpa, Aubrey Johnsonの4人のゲストが詩の朗読を行っています
また彼/彼女らだけではなく、トランペットのJonathan Finlaysonやバウム本人もSpoken word担当としてクレジットされたりも

アルバム全編を通してバウムによるひねりの効いた曲に、各ゲストのヴォーカルが絡むのですが、ポエトリーリーディングのような語りからほぼヴォーカルのような歌からコーラスまで、ヴォーカルスタイルがゆるやかに変化していき、新鮮ですね

このヴォーカルの「捉えどころのなさ」が曲の展開とマッチしていて、このあたりはバウムのディレクションなのかもしれません

クレジットされてるヴォーカリストは多いですが、全体を見渡すとSara SerpaとAubry Johnsonの2人が目立っていた印象です

特にSara Serpaは、跳躍の大きいバウムの曲を美しく響かせていました

また一方でAubry Johnson参加曲では「An Old Story」のようなゴリゴリのファンク曲など、ブラックミュージックのフィール満載の曲とポエトリーリーディングが演奏されています

一般的に、こういった形でヴォーカリストが何人も参加したり曲ごとに印象がガラッと変わるアルバムって、印象が散漫になるせいかあまり評価が高くないような気もしますね
数人のヴォーカリストが数曲ごと歌う、ジャズヴォーカルの名盤なんてないような

こういうのも「いまはもうアルバム単位でどうこう言うような時代じゃないんですよ?」と言われればそうかもしれないですが

どこまでも自由なヴォーカルの反面、サックスやトランペットなどの(押しの強い)楽器は控えめに使われていて、いわゆるジャズでいうソロパートは割り当てられていないようです。
(元Pachoraの)Brad Shepikや、Miguel ZenonグループのLuis Perdomoなど、ガンガン弾いてほしいメンバーも参加しているのですけどね。なんともぜいたくな起用です

フェンダー・ローズを使ったりと、ヴォーカルをサポートするバックの演奏の心地よさや爽快感は、なんとなくかつてのフュージョンを聴いた時のような印象もありますね

聴いていてポジティブな気分になる音楽だと思うのですが、こういう面はバウムの音楽の最良の部分じゃないかとも思います

Personnel –
Jamie Baum: flutes, spoken word
Jonathan Finlayson: trumpet, spoken word
Sam Sadigursky: alto saxophone, clarinet, bass clarinet
Chris Komer: french horn
Brad Shepik: guitar, singing bowls
Luis Perdomo: piano; Fender Rhodes
Ricky Rodriguez: acoustic and electric bass
Jeff Hirshfield: drums
Guests – Theo Bleckmann: voice (#4); Kokayi: voice (#6); Sara Serpa: voice (#5,7,8); : voice (#3,6,9); Keita Ogawa: percussion (#1,3,10)

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