Andrea Parkins & Matthew Ostrowski『Elective Affinities』レビュー

今日紹介するのは、2019年のAndrea Parkins & Matthew Ostrowskiの『Elective Affinities』というエレクトロにクス作品。

こういうライブエレクトロニクス的なジャンルはあまり詳しくないし、正直退屈なアルバムも多いと思うのですけど、このアルバムはなかなかにスリリングで飽きさせませんね。

Andrea Parkinsという人はアコーディオン奏者でピアニストでありつつ、エレクトロニクスも操る女性で、そう聞くとなんとなくポーリン・オリヴェロスなんかを連想します。
彼女はアコーディオン奏者/ピアニストとして即興系のレコーディングも多くて、サックスのEllery Eskelin、ドラマーのJim Blackらとの共演も多いです。

もうひとりのMatthew Ostrowskiという人は、ニューヨークで活躍する作曲家、インスタレーションアーティストで、ニューヨーク大学やコロンビア大学でアートを教えている人のよう。

Andrea Parkins & Matthew Ostrowskiというふたりの共演ですが、アルバム制作の前にふたりによる即興エレクトロニクスライブを行ったようで、その時の映像のひとつを見ることができます。

Andrea Parkinsはコンピューターや足元のエフェクターを操作しつつ、手元に置いたベルやアコーディオンなどさまざまな生音を組み合わせてパフォーマンスを行うスタイル。動画がはじまっていきなりダクトテープをバリバリとはがすのにはびっくりしましたが、、

それに対してMatthew Ostrowskiは、Leap Motionというセンサーを使ってコンピューターを操作して、テルミンのように音を変化させていっています。
基本的にはいろんなサンプリング音をコンピューターで再生しているのだけど、スピードをあげたりストップしたり、そういう再生のコントロールをテルミンのように操作しているようですね。

『Elective Affinities』

『Elective Affinities』はおそらくふたりで共演した音源を、良いとこどりして編集しているアルバムだと思います。当然マスタリングなども施され音も格段にクリア。

ライブ演奏の冗長さもなく、徐々に変化していく音色が気持ち良い。2人のうち、どちらがどの音を出しているかはなんとなくでしかわからないのですが、特にAndrea Parkinsのリアクションの良さはこのアルバムを特別なものにしているように聴こえます。

とっつきにくいですがクセになるアルバムです。