サムルノリ / 最後の放浪芸能集団

どうも紗奈です

今回、紹介するのは「サムルノリ」というグループ。

元々は韓国の放浪芸能集団「男寺党(ナムサダン)」の最後の世代である金徳洙(キムドクス)が中心となって1978年に結成されたグループ名のことです。
プンムルノリと呼ばれる農村地帯の伝統的な農楽をもとに、キム・ドクスらのアレンジを加えたパーカッション・アンサンブルですね。
もともとはグループ名だったのですが、いまではひとつの音楽のジャンルを指す言葉として認知されているようです。

サムルノリ結成当初のオリジナルメンバー

金徳洙(キムドクス)- チャンゴ
金容培(キムヨンベ)- ケンガリ
李光壽(イグァンス)- プク
崔鐘實(チェジョンシル)- チン

4人のメンバーがほぼパーカッションのみを演奏して、しかもレコードまで出しちゃうというのはかなりレアなグループじゃないでしょうか。
ロックやジャズで「ドラムソロのみでアルバム一枚」なんてほとんどないでしょ。
インド音楽ではタブラソロのアルバムはありますけど、それでもメロディ楽器の伴奏はついていますからね。

デビュー、そして直後の悲劇

このオリジナルメンバー4人はほぼ同年代で、デビュー前は数年にわたって一緒に寺にこもって稽古を重ねたそうです。

ただ、修行を重ねいよいよデビューしたその直後に悲劇がおきてしまいます。

音楽的にはいちばん重要なケンガリを担当していたキム・ヨンベさんが、グループを脱退して自分のグループを作ってしまい、さらに悪いことに脱退後しばらくして自殺してしまったのです。
この辺りの経緯は(残ったメンバーは知っているのかもしれないですが)あまり表には出ていないのかも。私が読んだインタビュー記事でも残った3人はこの話題になると明らか口が重くなっていましたが、ただすごくヨンベさんがいなくなったことを悲しんでいることはうかがえました。

そのため初期のオリジナルメンバーの演奏が聴けるCDは非常に少ないですね
日本盤では手に入りやすいNONESUCH盤がキム・ヨンベさん在籍時のオリジナルメンバー録音ですね。

新メンバー加入

キム・ヨンベさんが脱退した後、残った3人に彼らよりひとつ若い世代のカン・ミンスクというプレイヤーが加入します
この4人は世界中で演奏活動を続け、各地で高い評価を得ることになります
いま聴くことができるサムルノリの音源や動画と言えば、大部分はこのカン・ミンスクさんを入れた4人の演奏ですね
サムルノリは日本にも割とよく来ていたはずです。キム・ドクスさんは奥さんは日本の方のためか日本語もペラペラです

レッド・サンとの共演

サムリノリは世界中で演奏活動を行い、(たとえばビル・ラズウェルなど)各国のミュージシャンとの共演も重ねていき、レコーディングもしています。
そんな活動のうち個人的にいちばん好きなグループが、ジャズ系サックス・プレイヤーのウォルフガング・プシュニクとコラボして結成したレッドサン=サムルノリです。

共演メンバーはフリージャズっぽい人たちが多いのですが、リンダ・シャーロックのヴォーカルパートも多いため、そんなにアヴァンギャルドな印象は無く聴きやすい演奏かも

Red Sun – Samulnoriメンバー

レッドサン:
ウォルフガング・プシュニク(as)
リンダ・シャーロック(vo)※ソニー・シャーロックの元奥さん、のちのプシュニクの奥さん
ジャマラディーン・タクマ(el-b)
リック・イアナコン(g)
サムルノリ :
キム・ドクス(チャンゴ)
イ・クァンス(ケンガリ)
チェ・ジョンシル(プク)
カン・ミンソク(チン)

4人のパーカッションで叩き出す複雑でカオスなリズムと、フリージャズ的なフレーズがぴったりマッチしています。
ときおり挟まれるイ・クァンスのヴォーカルというか語りもカッコいいですね。

30年後のリユニオン

最後に載せた動画はRedSun Samulnoriの30周年リユニオンコンサートの様子

オリジナルメンバーはキム・ドクス、ジャマラディーン・タクマ、ウォルフガング・プシュニクのみですが、こうやって親交が続いているのは微笑ましいです。
ジャマラディーン・タクマはなんかとっても良い人オーラが出てますね。

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