キャンセルとなった幻のWOMAD’21

日本では、先日ロック・イン・ジャパン・フェスの中止が大きなニュースとなりましたが、
そんな中で2021年の7月末に予定されていたWOMAD フェスが中止になったというニュースが流れてきました。

2021年のWOMADはイギリス開催。ピーター・ガブリエルの母国でもありますし、フランスと並んでUKはいわゆるワールドミュージックの需要が高い国なので、開催に期待していた人も多いと思います。

イギリスには多くのインド・パキスタン系の移民がいることもあり、2021年のラインナップは、ヘッドライナーのアヌーシュカ・シャンカルを筆頭にニティン・サウニーなどインド系のミュージシャンが多く出ていましたね。


当然フェス参加はできないのですけど、動画など観るのを個人的には楽しみにしていたのですごく残念です。

UKは’21年の6月あたりから新型コロナの感染者数が急上昇しており、ロックダウンおよびイベント入場制限の期間を7月19日まで延期すると発表しました。
自国にアストラゼネカ社があることもありUKは世界でトップクラスにワクチン接種率が高いのですが、やはり若者を中心に完全に気が緩んだのか、ワクチン未接種の人がことごとく感染しているようです。

WOMADフェスティバルの開催予定は7月22日からの3日間で、これはつまりロックダウンが解除されるわずか3日後に開幕となってしまったのです。

予定通りロックダウンが解除されるのか、解除後の経過観察がどのような形式になるかの確約もないため、このまま開催を準備することはリスクが高いと判断したピーター・ガブリエルは2021年のWOMADの中止を決断しました。

やはりフェスの開催は中止となった場合の損害額が大きくリスクの高い事業ではありますね。
実際、WOMADは過去に2度ほど破産しかかっているそうですので。

 

とはいえ、ピーター・ガブリエルはぎりぎりまでなんとか開催しようと政府にかけあったようです。

具体的には、ロックダウン解除後に予定通りにフェスティバルが開催できなかった場合の補償を政府に要求したようです。
ただ、この要求に関して政府は
「7月19日に予定通り制限が解除されるよう全力をあげています。またWOMADは、他の様々な音楽祭と同様にすでに文化復興基金を通じて25万ポンド近い税金の支援をしていますから、、」
としてさらなる補償は受け入れられなかったようです。

他にも『イベント・リサーチ・プログラム(ERP)』に参加するという手段も模索していたようです。
良く海外のニュースで「1万人規模フェスでワクチン効果の実証実験」といった報道されています、ああいった規制解除へ向けた大規模な実証実験のプログラムのことです。

WOMADと同じ週末に開催されるLatitude FestivalとTramlines Festivalは、政府のERPを使いフルキャパシティで開催されることになるそうです。
WOMADもすぐにプログラムを申請したのですが、何度依頼しても返事がなかった、とのこと。
これは確かに不公平感はありますが、先着順にせざるを得ないのである程度はしかたない話かもしれません。

こういった経緯で、政府からの支援が受けられなかったことが決定打となり2021年のWOMADは中止となってしまったのですが、
やはりピーター・ガブリエルはとしては、支援もない、ERPも受け付けられない、ということでかなりご立腹のようでした。

「そもそもウィンブルドンもアスコット競馬もユーロサッカーもやってるのに、音楽フェスだけ規制させるなんて理不尽だ」

という訳です。
これはたしかにガブリエルの言う通りかも。

先日もサッカーのユーロ選手権でイングランドが決勝まで進んだことから、若者がマスクもせず町に繰り出して大騒ぎしていました。
UK政府にとってサッカーを無観客にしたり、集まっての応援を規制することは「ありえない」話なのでしょう。

このあたりは、業種によってかなり恣意的な規制の運用をしているような気がします。
WOMADは開催のタイミングがかなりアンラッキーだったとは思いますが、政府の対応が公平さを欠いて理不尽ではあるというのはどこの国も変わらないな、という印象を持ちますね。