マリのグリオ音楽グループ、トリオ・ダ・カリ(Trio Da Kali)の新作アルバム『Bagola』の紹介
トリオ・ダ・カリは、クロノス・カルテットと共演したアルバム『Ladilikan』(2017年、World Circuit)でデビューしており、今回はセカンドアルバムになります
トリオ・ダ・カリのメンバーは
Hawa Kassé Mady Diabaté (vocals)
Lassana Diabaté (balafon)
Mamadou Kouyaté (ngoni)
トリオ・ダ・カリのメンバーはそれぞれが古くから続く著名な音楽一家に生まれ育っており、(グリオ音楽の)スーパーグループと言って良いかもしれません。
ワールド系のジャンルでは、こうしたスーパーグループ的なプロジェクトは珍しくありませんね。
最近ではマリの女性アーティストを中心としたLes Amazones d’Afriqueなど
同じWorld Circuitではブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブもそうですし、他にもタラフ・ドゥ・ハイドゥークスやファンファーレ・チョカリーヤなど挙げればキリはない
こうしたプロジェクトは「企画モノ」であるのは間違いありませんし、「商業主義」「文化搾取」だと批判する人もいるでしょう
ただ、個人的にはこういう「抗えない西洋の影響」が見え隠れするところもまたアフリカ音楽のリアルな姿だとも思うわけです
トリオ・ダ・カリは、名前からわかるように、ヴォーカル、バラフォン(木琴のような楽器)、ンゴニ(ベースの役割)という3人のみで演奏されるグループです
アフリカ音楽でいうと、「シンプル」で「素朴」な音楽を創造するかもしれませんが、トリオ・ダ・カリは、特にバラフォンのテクニカルな演奏によって、かなり高度で饒舌な印象がありますね
曲ごとに演奏のカラーを変え、飽きさせることがありません
「変化に乏しく長く聴いてると飽きちゃう」というのが私がアフリカ音楽を敬遠しがちな理由なのですが、トリオ・ダ・カリにはそんな面はみられませんね
またHawa Kassé Mady Diabaté のヴォーカルもいかにも西アフリカという感じですね
同じマリ出身で、同じWorld Circuitからアルバムをリリースしていたウームー・サンガレにも通じるところがありますが、サンガレよりパワフルでストレートなヴォーカルかもしれません。
こうやって3人のみの演奏を聴くと、クロノス・カルテットとの共演は『Bagola』はストリング・カルテットは邪魔してただけなんじゃないかという気にさせられますね