Taylor Deupreeの『Harbor』を聴いてみた

テイラー・デュプリー(Taylor Deupree)の新作『Harbor』がリリースされていましたね。

これまで電子音楽は積極的に聴いてきた訳じゃないですが、テイラー・デュプリーに限っては学生の時からよく聴いていたような気がします。

というのも、学生時代の友人がデュプリーを好きで聴いていたのですよね(その彼女はずっとピアノを習っていたこともあってか、かなり音楽に詳しかったので)
デュプリーの音楽は、当時はあまり聴いたことのないタイプの音楽だったので新鮮だった覚えがありますね。

これまでに自分が聴いて好きだったデュプリーのアルバムといえば『Polr』 (2000) とかかな。
あとTetsu Inoueさんとコラボした『Active/Freeze』はかなり繰り返し聴きました(ただしこのアルバムはおそらくTetsu Inoueさんカラーが強いアルバムだったように思いますが)

彼はすでに何十枚ものアルバムをリリースし、Web上には彼を紹介するページも山ほどあるので、今日は雑談風に。
” Taylor Deupreeの『Harbor』を聴いてみた ” ですね。

それにしても、テイラー・デュプリーみたいな音楽をジャンル分けするとどうなるのでしょうね?
Webでは「マイクロスコピックサウンドの第一人者」とか書いているのですけどね。そんな単語、聞いたことも使ったこともないしなぁ。

アンビエントだと言えばそうとも言えるし、エレクトロニカだと言えばそうも言えるのかも。
こういう音楽はうまいワードがないので、基本的には「電子音楽」と呼ぶしかない気もしますけどね。

『Harbor』

こういう電子音楽のタイプについては、個人的には「電子音っぽいのか生音っぽいのか」「グリッチ・クリック音やノイズがどれくらい含まれているか」でタイプ分けしているのですよね。

『Harbor』のようなアルバムだと、
「電子音っぽい音も生音っぽい音もどちらもバランスよく使われていて、グリッチ・クリック音はほぼ無し」
という感じで、頭の中にアルバムの特徴が位置付けされています。

音づくり的には耳につくような目立つはあまり使われず、ニュートラルな音に聴こえますね。

印象的なのは、雨音を模したような多少メロディっぽく聞こえる電子音と、それと対比するように雨の日の部屋の中ようなうっすらとしたざわめき・ノイズ音。

拡がりのある電子音がうっすらと鳴らされるのですが、最近のアンビエントみたいな複雑で重層的なレイヤーはなくて、あっさりとした感じ

こういうタイプのアルバムって、おそらくこれまでに(それはデュプリー本人だけでなく他の人によっても)作られてきた気がして、割とステレオタイプな気はしますね。

別にディスっているわけじゃなくて、言い換えるなら「王道」「定番」とでも言えるかも。

なんだかんだ言っても、やっぱり聴いているとその美しい響きについ引きこまれてしまいます。

ブログを書いているとつい粗探しをするような聴き方にもなるのですけど、あまりそういうネガティブな要素も見つからないんですよね。

この『Harbor』のようなアルバムは、テイラー・デュプリーくらいの人が作ると「いや、さすがですね」と受け入れられると思うのですが、もし新人アーティストが同じようなアルバムをリリースしたら、「◯◯の劣化コピーだ」みたいに酷評されそうな気はするんですよねー。

例えるなら新人のジャズ・ピアニストが全曲スタンダードのトリオアルバムをリリースしたら、「君はキース・ジャレットにでもなったつもりか?」と言われちゃう、みたいな。

それなりのステータスというか「格」みたいなものが求められるタイプの音楽というのもあるって事ですよね。