『Spirit Stronger Than Blood』は、クレズマティックスなどでも知られるトランぺッター、フランク・ロンドンの新作アルバム
ロンドンは、近年になって骨髄線維症という極めてまれな血液の癌と診断されたそうです。
『血よりも強いスピリット』は、もちろん病魔へ挑む彼と、彼へのサポートアクションに付けられた名前でもあります。
こちらは2024/06/04にロンドンの骨髄移植前夜にルーレットにて行われた、彼への支援ライブの動画
KlezmaticsやHasidic New Waveなどで、これまでロンドンと共演してきたメンバーが一堂に会したライブ。
感動的、感動的なライブです。
フランク・ロンドンはクレズマティックスやソロなどもずっと聴いてきたし、最近のアルバム『Ghetto Songs (from Venice and Beyond)』についてもブログに書いたり、自分にとっては特別な存在ではあります
難病ということで早く元気になってほしいですね
『Spirit Stronger Than Blood』
アルバム版の『Spirit Stronger Than Blood』は、THE ELDERSと名付けられたメンバーとのカルテット演奏で、ゲストとしてグレッグ・ウォールが参加しています。
またこのレコーディングは、血液の病気やその他の癌で亡くなったロンドンの友人や同僚たち-レスター・ボウイ、トーマス・チェイピン、ジュリア・アイゼンバーグ、ロン・マイルズたちに捧げられているそうです。
このアルバムですが、良いです。すごく良いアルバムです。
たいていこういった趣旨のアルバムは、音楽的にはあまり面白くないことも多いのですがこのアルバムは全く違います。
これまでのロンドンの音楽とはかなり趣が違っていて、ハード/フリーっぽさは少しあるものの、4ビートのパートなども多い、いわゆるモダンジャズといった雰囲気のアルバムです。
ただアルバム全体に漂う楽しげな高揚感は、クレズマーの持つパーティーミュージック的な側面を、モダンジャズに落とし込んだかのようです。
感触としてはキューバジャズやラテンジャズに近いのかも。
テクニックだどうとか、ソロがどうとか、そういう事をとやかく言う音楽じゃないんです、とにかく楽しい。
もしかすると、いわゆるジャズはシリアスになりすぎていて、実はこうした聴いていて純粋に楽しくなる、体を揺らして踊りたくなるようなジャズが主流になるべきだったのかもしれませんが。
アルバムを聴くとマリリン・ラーナー(初めて名前聞きました)のピアノが目立っていたかも。わりと饒舌で、隙間を音を埋め尽くすタイプの演奏ですね。良くも悪くもこのアルバムのカラーを決定づけていると思います。
そしてやはりHasidic New Waveの盟友であるグレッグ・ウォールとの共演は、グッときましたね。
THE ELDERS are:
Frank London – trumpet
Marilyn Lerner – piano
Hilliard Greene – bass
Newman Taylor Baker – drums
Greg Wall – sax (tracks 2,3&4)