どうも紗奈です
ジャズミュージシャンとインド音楽パーカッションであるタブラの共演については、先回こちらに書きました。
こういう場合、基本的にはジャズミュージシャンがゲストにタブラ奏者を呼び、タブラ奏者がジャズ演奏に合わせるというパターンが多いようです
逆に、ジャズミュージシャンがゴリゴリのインド音楽を演奏するというケースはあまり無いみたいですね。
インド音楽はフィーリングというかルールが独特なので、専門のトレーニングを積まないとジャズミュージシャンと言えども演奏するのは厳しいんでしょうね
ジョン・マクラフリンによるインド音楽グループ シャクティ結成
そんななかジャズ・ギタリストのジョン・マクラフリンは70年代にインド音楽のミュージシャンを集めて「シャクティ」というグループを作りました
もともとマクラフリンはインド哲学に傾倒していて、その影響からインド音楽にも興味をもったとのこと。
マハヴィシュヌ・オーケストラの「マハヴィシュヌ」という名前もインド哲学の法名?みたいです。
他にもインド哲学にハマっていたミュージシャンというと、アルバムでも共演したカルロス・サンタナやナラダ・マイケル・ウォルデンなどがいますね。
70年代のオリジナルShaktiメンバー
John McLaughlin(guitar)
Zakir Hussain (tabla)
T.H. “Vikku” Vinayakram (ghatam, mridangam)
L. Shankar (violin)
マクラフリンは、シャクティというグループで「ジャズとインド音楽の融合しよう」みたいな考えは全く持っていなくて、「自分もインド音楽にチャレンジしたい」というシンプルな欲求からはじまったグループなんでしょうね。
ただ結果的にはシャクティの音楽は純粋なインド音楽とは言えなかったようです。
シャクティではルールの複雑なゴリゴリの古典ではなく、ガザルとかのインド音楽の中でも比較的シンプルなジャンルを演奏していたようです。
インド音楽によくある「最初はスローで徐々にスピードアップ」みたいな約束事もなく、曲の最初から圧巻のスピード感溢れる演奏です。
オリジナルシャクティは3枚のアルバムを出して、その後それぞれの活動に戻っていきます。
再結成 Remember Skakti
1997年にシャクティは一部メンバーを替えて「Remember Shakti」として再結成されました。
再結成された当初はメンバーも流動的だったのですが、最終的には以下の5人のメンバーに固定されます。
新たに参加したミュージシャンもそれぞれが自身でアルバムを出し、その楽器のマエストロと言われる、まさにスーパーグループですね
Remember Shakti メンバー
John McLaughlin (guitar)
Zakir Hussain (tabla)
U. Srinivas (mandolin)
Shankar Mahadevan (vocals)
V. Selvaganesh (kanjira, ghatam, mridangam)
マンドリンのU Srinivasは11才からコンサートで演奏し「神童」と呼ばれたプレイヤー。惜しくも35才の若さで亡くなってしまいました
リアルワールドレーベルからアルバムも出しています。その際はスタジオの電気を消しローソクの光の中でレコーディングするという、消防法的にきわどいスタイルのレコーディングだったようです。
その時の映像はこちら
Shankar Mahadevanは映画音楽やソロでも活躍する国民的シンガーらしいです。
パーカッションのV. Selvaganeshは、70年代のオリジナルメンバーでガタム奏者Vinayakramの息子さんですね。ベースのJonas hellborgとジャズ・ロックっぽいアルバムをリリースしていてこちらもすごくカッコ良いです。
『The Believer』 / Remember Shakti を聴くならこの1枚
2000年にリリースされた『The Believer』はヨーロッパツアーからのベストテイクを選んだライブアルバムで、このコンサートの様子はDVDでもリリースされています。
もうこの『The Believer』は素晴らしすぎる演奏なので、ただただ聴いて欲しいです
映像を観てもらうとマクラフリンはステージ上なのにめちゃめちゃ楽しそうですね。
周りのメンバーの演奏をニコニコ聴きながら指でカウントするだけで、ほとんど自分では弾いていないという場面もたくさんです。
結局この5人の固定メンバーでのアルバムはほぼこれ1枚だけというところがなんとも残念です
(モントルー・ジャズフェスの音源などもリリースされていますが、基本『The Believer』と同じ曲)
わたしのTwitterではオールタイムベストアルバムを9枚選んだのですが、『The Believer』もそのうちの1枚に入れました
Remember Shaktiは日本でもツアーを行ったようですが、Srinivasがいない今となっては、さすがにもうワールドツアーはないのでしょうね(涙)
追記:2020年 Shakti リユニオンコンサート決定
2020年にShaktiが再結成されるというニュースがありました。
U Srinivasの代わりにヴァイオリンのGanesh Rajapalanが参加するようです。
彼は兄弟ふたりのヴァイオリンデュオ、Ganesh and Kumareshとして活躍しているプレイヤーで、他のメンバーと並んでも遜色ない人選ですね。
#Shakti returns in 2020. Concert in Kuala Lampur , Malaysia on Jan 17 with @jmcl_gtr @ZakirHtabla @Shankar_Live @kanjeeraselva @violinganesh
Tickets at https://t.co/tUrWvg49k0.#shakti #abstractlogix #shirazprojects pic.twitter.com/FGDSsb959V— Abstractlogix (@abstractlogix) October 8, 2019