マイケル・フォーマネク『Even Better』レビュー

マイケル・フォーマネク(Micheal Formanek)は80年代末より活動するベテランのジャズベーシストですが、今日は彼が2019年にVery Practical Trio名義リリースした『Even Better』というアルバムを紹介。

Micheal Formanek Very Practical Trio『Even Better』

Micheal Formanek (bass)
Mary Halvorson (guitar)
Tim Berne (alto sax)

いや、このアルバムはなんといってもメアリー・ハルヴォーソンとティム・バーンという組み合わせがかなりレアで豪華共演です。
この2人の共演というのはおそらくこのアルバムが初めてじゃないでしょうか。もうそれだけで聴く価値があるアルバムですよ。

このアルバムが、Very Practical Trioにとってはじめてのアルバムリリースになります。
ただこのグループがパーマネントに続いていくかというとちょっと疑問。グループ名を付けていますけど1度きりのセッション風レコーディングである可能性もあり。

グループとしては初顔合わせなのですけど、フォーマネクとバーンはBloodcount、フォーマネクとハルヴォーソンはThumbscrewという別のグループで長く共演しているので、お互いのことは良く知っているはず。

曲はすべてフォーマネク自身による作曲(”Jade Visions”のみスコット・ラファロの曲)
あまり主従の関係がなく3人が対等に絡み合うタイプのアレンジで、即興演奏なのだけどすごく室内楽的。
曲のイメージを壊さずにプレイするようにかなり意識しているようなので、特にバーンはフリーフォームではないいつもと違うプレイが聴けます。

それにしても、ハルヴォーソンはバランサー的な役割が上手いですね。
バーンがメロディーラインを吹いている時の、ハルヴォーソンのバッキングも変な音が満載でひねくれててかなり聴いていて楽しいです。

曲ごとのカラーも多彩なのですが、中盤あたりでスローテンポで原曲のイメージがつかみづらい曲になると、モヤっとした演奏になってしまっているのかも。

バーンとハルヴォーソンのクセのあるフレージングを聴くには、このドラムレスという編成は正解なんでしょうね。
ただこのメンバーにドラムを加えた編成でどう展開するかも聴いてみたいですよね。せっかくの豪華メンバーなのだから。

この3人にドラムを加えるなら、トム・レイニー、トマ・フジワラ、チェス・スミスなどになると思いますが、誰かドラムを加入させて別のグループを組んでレコーディングしてほしいですね。

 

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