Lido Pimienta『La Belleza』

コロンビア系カナダ人アーティストのLido Pimientaの新作『La Belleza』

前作『Miss Colombia』は、グラミー賞の最優秀ラテンロック/オルタナティブアルバムにノミネートされてましたね。
そのポップでカラフルなアルバムジャケットもあいまって、メジャーでポップ路線なアーティストというイメージでした

なんですけど、今作『La Belleza』などはあまりSNSでも話題になっていないような

本作は、クィアでもあり、先住民でもあり、黒人でもあるというピミエンタ自身のアイデンティティに根差したメッセージ性の強いアルバムになっています

以前このブログでも取り上げたキューバ出身カナダ在住の女性二人組Okanというグループがいるのですが、
彼女たちもクィアであり自身の国を捨てカナダに移住しています
(Okanはピミエンタのアルバム『Miss Colombia』に参加もしていました)

コロンビアもキューバも、南米の国々はクィアにとっては暮らしづらいのかもしれません。
音楽マーケットじたいも小さいですしね。
そういう人々が自身の国を捨て、(アメリカではなく)カナダを選ぶというのもまた必然なのかもしれません

『La Belleza』は、音楽的には今作は、室内楽っぽいクラシックをベースにピミエンタのスキルフルなヴォーカルを聴かせるアルバムになっていますね。
ラテン音楽と言って良いのかどうか。ほぼクラシックと言って良いかも

ドラマチックな曲展開の中に押しの強いヴォーカルがのっかるさまを聴くと、どうしてもビョークをイメージしてしまいますね
ビョークほどクセのあるヴォーカルではなく、ハイトーンのチャーミングなヴォーカルです。

バッド・バニーやボンバ・エステレオのようなダンス音楽っぽい展開はなく、かなりハイレベルでハイコンテクストな音楽かもしれません。
ただ南米のミュージシャンに共通した「哀愁をたたえた陽気さ」みたいなテイストは残っていて、エンタメとしてちゃんと成り立っている気はしますね