ファゴット奏者Joy Guidry(ジョイ・グイドリー)の新作『Five Prayer』
前作『Amen』のアルバムジャケットで被っていた印象的な頭飾りがあったのだけど、今回のジャケットはその頭飾りとそれを持つ腕が映ったジャケットになっています
これまでのフリージャズを基調とした複数人のグループによる演奏から、今回のアルバムはおそらくはグイドリーひとりで作ったんじゃないかと思います。
(エリザベス・シュタイナーというハープ奏者の演奏がゲストで少し演奏しています)
アルバムの作りはシンプルで、グイドリーが作るアンビエント音をバックに彼女のバスーンが演奏されるといったもの
ファゴット演奏自体もロングトーンを多用し、楽器というよりは効果音のひとつのような使われ方をしていますね
「Prayer」というタイトルが付けられていることからもわかる通り、まるで寺院や聖堂にいるような荘厳な空間でファゴットを吹いているかのようです。
このアルバムは、アリス・コルトレーン、ジャズミン・サリバン、クレオ・ソルなどに影響を受けたと書かれているのですが、確かにパッと聴いた印象からは「スピリチュアル」といったワードが頭をよぎる作品かもしれません。
このアルバムを作る時期はグイドリーはメンタルの問題を乗り越えたとも語っていて(SNSではいつも元気そうなんですけどね)、このアルバムはひとつの「メディテーション(=心を落ち着かせるための実践)」なのかもしれません
いわゆるアンビエント音楽のアーティストのような複雑なテクスチャを作っている訳でもないのですが、どうしようもなく引き込まれるのは魔法、マジックと言って良いかもしれません(すごい褒めてるつもり)
良い音楽は世の中にいくつもありますが、このアルバムのようなマジックを感じれられる音楽はそうそうないものです
特にブログなどをやっていると良い音楽のどこが良いのかを見つけようとしてしまいますし、それは(言語化は難しくとも)なんとなくわかるものですが、このアルバムがなぜこんなに引き込まれるのかは謎ですね
前作『Amen』でも感じたこういった「理解の及ばなさ」が、グイドリーのアルバムを聴く体験を特別なものにしていると感じますね