ジョニ・ミッチェル『Live in New York』レビュー

今年2020年に入って、ジョニ・ミッチェルの過去のライブ音源『Live in New York』というアルバムがリリースされました。

このブログは新作リリースとかニュースにからめて投稿することが多いので、ジョニ・ミッチェルについて書くタイミングはほとんど無かったのですよね。
2015年に緊急入院したというニュースもありましたし、それからほとんどニュースを聞きませんし。

ジョニは本当に大好きなミュージシャンだし、本当に偉大なヴォーカリストだと思います。
ジョニのように歌いたいヴォーカリストは多いんじゃないでしょうかね。
カサンドラ・ウィルソンみたいにジャズヴォーカリストにもミッチェルを強く意識したヴォーカリストは多いですが、誰も彼女のようには歌えないのですよね。

この『Live in New York』ですけど、1979年に行われたツアーの模様を収めた2枚組ライブ・アルバムで、ちょうど『Shadows and Light』というライブ・アルバムと同じツアーの演奏が収められているアルバムです。
同じメンバー、ほぼ同じセットリストですね。

Personnel
Joni Mitchell (Guitar, Keyboards, Vocals)
Michael Brecker (Tenor Saxophone)
Pat Metheny (Guitar)
Lyle Mays (Acoustic Piano, Keyboards)
Jaco Pastorius (Bass)
Don Alias (Drums)
The Persuasions (Vocals)

『Shadows and Light』ツアー

このツアーは1979年にリリースされたアルバム『ミンガス』(Mingus)後に行われたようなのですが、『ミンガス』に参加していたウェイン・ショーターなどはウェザー・リポートの契約関係で参加できなかったそうです。
ウェザー・リポートのメンバーが2人以上でツアーに参加してはダメという契約があったらしく、ジャコ・パストリアスがいたため、ショーターは参加できなかったと。
そういう理由もあって、ツアー用に新たに集めたメンバーのようです。

おそらくですけど、ジャコが知り合いのミュージシャンに「ちょっと今度ジョニのツアーの仕事があるんだ。参加してくれよ、頼むよー」とお願いしたに違いないです。

そういう感じで急造で集められた感もあるメンバーですけど、この時のブレッカーとメセニーの顔合わせがメセニーのアルバム『80/81』のレコーディングにつながるなど、このツアーでの共演をきっかけにこの後のたくさんのレコーディングにつながっていくので、歴史的意味も大きいツアーですね。

『Live in New York』

この『Live in New York』ですけど、当初はCDのみのリリースでしたが、後にストリーミングでも配信されていました。

実際にはブートレグのようなものではっきり言って音質はノイズもひどく非常に残念な感じです。
基本的にはコレクター向けなのでしょうし、ガチのジョニ・ミッチェルファンならすでに持っているマテリアルなのかもしれません。

とはいえ『ミンガス』や『Shadows and Light』で聴いたナンバーの別バージョンを聴けるというだけでも貴重だし、このメンバーだし演奏は最高です。

特に「In France They Kiss on Main Street」「Free Man In Paris」「The Dry Cleaner From Des Moines」といったアップテンポな曲で、スタジオアルバムとも『Shadows and Light』とも違うアレンジで、各メンバーのめちゃカッコ良いソロが聴けます。
やっぱりこのメンバーだとジャコがリーダー的な役割だったのでしょうか。いちばん自由にソロをとって気持ちよさそうに弾いています。

もう1点、このアルバムには『Shadows and Light』では収録されていない曲が4曲も収録されています。
「Big Yellow Taxi」
「Just Like This Train」
「Raised On Robbery」
「The Last Time I Saw Richard」 の4曲

『Shadows and Light』の時代はまだアナログレコードを念頭において収録曲を決めていて、CDフォーマットの録音時間をフルに収録していなかったのでしょうね。CD万歳!
この4曲を聴くためだけでも『Live in New York』は買う価値がありますよ。

モバイルバージョンを終了