ベーシストのジョン・パティトゥッチをリーダーとした、ピアノレス・トリオアルバム
サックスにクリス・ポッター、ドラムスにブライアン・ブレイドという布陣です
同じ編成で『Live in Italy』というライブアルバムもリリースしており、以前から続く組み合わせみたいのようです
この3人にブラッド・メルドーを入れたカルテットでもアルバムを作っているのですが、パティトゥッチは自身がリーダーの場合はベースが目立つ編成にしているのかもしれません
メンバーそれぞれが各楽器を代表するビッグネームであり、自身名義のアルバムを多数リリースし、ゲスト演奏も山ほど行っているので目新しさはないかもしれません
「コンテンポラリー・ジャズ」という言葉がありますが、このワードは彼らのような音楽に向けて使われる言葉じゃないかと思いますね
別に「コンテンポラリー・ジャズ」がスタイルとして優れているとか王道だとかいうつもりもありませんが、今の「ジャズファン」の最大公約数の人が聴くタイプのスタイルではないかと思います
ジャズ・ライフを読んでる人が良く聴くような音楽、とかそういう感じの音楽です (別にディスってるわけじゃないですが)
アルバムに参加した3人は、それぞれいろんなところで聴いたことあるわけで、ある程度は音の予想はついたのですが、これはその予想のはるか上を行く良いアルバムですね
ブラッド・メルドー入りのカルテットの時は「ふーん、こんな感じか」という感じで、あまり惹かれなかったのですが
このアルバムはリーダーはパティトゥッチですが、実質的にクリス・ポッターのアルバムと言っても良いと思いますね
ピアノレスのため明確なコード進行などは感じらず、耳につく明確なメロディも希薄でセッション風で、まるでポッターに「好きに吹いて」といって吹かせただけのような印象です
そんなポッターのサックスは荒々しくブロウするわけではないのに、息を飲むフレージングが何層にも重ねられて立体的に浮かび上がるようです
『40分ずっとソロサックスのアルバム』みたいなのはもはやネタだと思いますが、このアルバムのポッターであれば、40分のサックスソロでも飽きずに聴かせられそうな感じ
ひらめきのあるフレーズが絶え間なくあふれ出し、「積んでるエンジンが違うな」と思わせるプレイですね
そして、ブライアン・ブレイドのドラムも手数も比較的多く、細かく表情を変えてカッコよい演奏だと思いますね
ブレイドは、知名度も人気もジャズの世界を代表するドラマーだとは思いますが、これまであまり好きにはなれなかったのですけどね(もっとガンガン叩いてほしい)
でもこのアルバムでのブレイドは「ノッてる」感じが楽しいです
こういうアルバムの方向性は、パティトゥッチ、エディションレコードどちらのディレクションなのかはわからないですが、よりアグレッシブでワクワクする演奏になっていますね
エディションレコードは、ちょっとオールドスタイルというかノスタルジックな肌触りのアルバムを作ることが多いような気はしますね