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ラホール出身の4人組グループ Jaubiの新作『Nafs at Peace』

今回は、パキスタンのラホール出身のメンバーを中心とした4人組グループ Jaubiのセカンドアルバム『Nafs at Peace』の紹介。
このアルバムは『Deconstructed Ego』(2016)に続くとなります。

Jaubiは、ギタリストのアリ・リヤズ・バカール(Ali Riaz Baqar)を中心としたグループで、彼がほぼ全ての作曲を担当しています。
バカール自信はオーストラリアのメルボルン在住ですが、その彼がラホールのローカルシーンで活動していたミュージシャン3人を集めて作ったグループのようです。

北インド古典音楽、中東音楽、スピリチュアル・ジャズ、そこにエレクトロニックな要素を加えたエスニック・フュージョングループと言えますね。

今まで聴いたこともないような斬新なアルバムでも、インド古典の卓越したテクニックが聴けるわけでもないのですが、心地よいグルーヴとインド古典を思わせるフレーズとエレクトロニクスサウンドが自然に混じりあい、ユニークで注目に値するアルバムなのは間違いないありません。
インド音楽のサランギとタブラに、バカールのギターが加わることでエモーショナルでドラマチックに仕上がっていて最高ですね。
なんとなくニティン・サウニーやBombay Dub Orchestraを連想させます。(わたしは特にBombay Dub Orchestraはめちゃ好きなので)
Kashif Ali Dhaniのタブラ演奏は(名人級とかそういう事はないのですが)本格的と言って良いと思いますね。

『Nafs at Peace』というタイトル(Nafsはクルアーンでいう「自我」の概念だそう)や、祈りを捧げる女性のアルバムジャケットからわかるように、インド古典に沿った演奏でありつつも宗教的な色彩を帯びたアルバムです。
(バカール自身は自らを「宗教心はない人間だ」と言っていて、そういう人はパキスタンでは生きづらそうではあるので、そういう面からメルボルンに住んでいるのかも?と思ったり)

メンバーとして、パキスタン系の4人に加えてサウスロンドンのジャズシーンで活躍するフルート奏者のテンダーロニアス(Ed Cawthorne)と、ポーランドをベースに活動するキーボード奏者のLatarnik(Marek Pędziwiatr)が加わるというインターナショナルなメンバー構成です。

テンダーロニアスは、2020年にJaubiのメンバーと共演した『Ragas From Lahore, Improvisations With Jaubi』 というアルバムをリリースしており、このアルバムが『Nafs at Peace』のレコーディングにつながっているようです。
この『Ragas From Lahore』は事前に聴いていたの ですが、正直なところ音楽的な盛り上がりにも欠けていて、「なんちゃってインド古典」みたいな印象。
そういう訳でこの『Nafs at Peace』もあまり期待していなかったというのが正直なところです。

ですが実際は予想に反して良盤で、ほぼ同じメンバーのはずの『Nafs at Peace』なのに、ディレクションする人が違うだけでこんなに出来が違うんだ!という感想です。

テンダーロニアスという人は「サウス・ロンドン・シーンで活躍するプレイヤー」みたいな紹介のされ方を良くされているみたいなのですが、引き出しの少なさというかフェイクっぽい音楽性みたいがイマイチのめりこめない感じです。
これは同じくロンドンで活動するサラシー・コルワルなとにも言えるような気がして、端的に言うとこの「サウス・ロンドン・シーン」というもの自体が過大評価されているんじゃないかな、とは思います。

Jaubiメンバー
Ali Riaz Baqar – Guitar
Zohaib Hassan Khan – Sarangi
Qammar ‘Vicky’ Abbas – Drums
Kashif Ali Dhani – Tabla, Vocals