ヴァイオリン奏者ヒラリー・ハーン パンデミック後 初のアルバム『ECLIPSE』

ヴァイオリニスト、ヒラリー・ハーン(Hilary Hahn)の新作『エクリプス(ECLIPSE)』は、パンデミックによる1年以上の活動休止期間を経た後の初のレコーディング作です。

レーベルインフォによると、

2021年にアンドレス・オロスコ=エストラーダ指揮フランクフルト放送交響楽団との無観客公演で演奏したドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲と、パンデミック後はじめての有観客で演奏したヒナステラのヴァイオリン協奏曲とサラサーテのカルベン幻想曲のライヴ録音を収録されている

ということです。

またここで取りあげられているドヴォルザーク、ヒラステラ、サラサーテという3人の作曲家は、長い間故郷を離れて活動していたという共通点があるらしく、ハーンにとっての演奏活動というホームグラウンドから遠ざかった時の心象を反映しているセレクションなのだとか。

オフィシャルの動画はこちら。なぜか指揮者の人がニッコニコなんですが。

 

たぶんヒラリー・ハーンは、いわゆる普通のクラシックファンにも現代のトッププレイヤーとしてかなり聴かれているプレイヤーだと思うのですよね。
「”普通”のクラシックファンってなんだ?」って気もしますが、たとえばブラームス全集80枚組CDを買って「うーん、聴く時間ないなあ」みたいにつぶやくような人たち(いえディスってはないです)

クラシックには全く詳しくなくてハーンの演奏家としての評価とか「格付け」は良くわからないのですが、たぶん「現役奏者でトップ10を挙げろ」と言われればほとんどの人が名前を挙げ、「トップ3」でも名前がちらほら挙がる、という感じでしょうか(ネットなどの印象ですが)

彼女のようなクラシック演奏家は、普通はあまり自分の観測範囲には入らないのですが、彼女は2011年にリリースしたチャールズ・アイブス曲集『Ives:Four Violin Sonatas』のリリース・パーティーを、ジョン・ゾーン主催のライブスペース「Stone」で行ったりして、気になっていたのですよね。

また今年になって、NYのライブハウス、ルーレットで行われた「Benefit for Ukraine Support」というチャリテイーライブに出演したりも

他に彼女に注目した理由とした理由は、2013年にリリースしたアルバム『In 27 Pieces:the Hilary Hahn Encores』でハーンと共演したピアニストのコリー・スマイスですね。

コリー・スマイスは自身のソロアルバム『Accelerate Every Voice』(これ素晴らしいです!)などジャズ系の活動も多いですし。

そのあたりから、彼女のSNSなどをチェックするようになった感じです。

彼女はSNS(twitter)での発信も多くて、パンデミックでのロックダウン中に #100daysofpracticeというタグを使って、毎日練習動画を100日間アップするといったことも行っていました。

これが100日目のツイート(とはいえ淡々と練習するだけなのが彼女らしいですが)

こういう姿を見ても、オープンマインドで良いキャラの人だなあと思いますね。

『エクリプス』というアルバムじたいは、オーケストラとのヴァイオリン協奏曲ということで、ひたすらゴージャスでエモーショナル。
やっぱり大編成クラシックの高揚感というのは、自分が普段聴いている音楽とは印象がガラッと変わって新鮮です。

なのですけど、こういう正統的なクラシックは個人的にはフックが足りないというか、好みの感じじゃないかな。
一言でいうと「クラシックすぎる」

ハーンがヴァイオリンという楽器を完璧にコントロールする様を聴くと、さすがの素晴らしさなのですが、彼女のアルバムであればそれこそコリー・スマイスとのアルバムみたいな、伴奏はピアノのみといった小編成の方が好みかも。

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