Kinki Kidsの堂本剛さんのソロ・プロジェクトであるENDRECHERIが、2019年8月14日にアルバム『NARALIEN』をリリースしました。
追記:2020年にはストリーミング配信も開始していたようです。
そこで、
「ENDRECHERIファンに聴いてほしいファンクアルバム3枚」
を選んでみましたので、ここで紹介しようと思います。
ENDRECHERIといえばジャンルで言えばファンクなのですが、ENDRECHERIのプレイする「ファンクっぷり」については色々議論が出ているようです。
個人的にもなんとなくモヤモヤを感じていたので、思うことをちょっと書いたりもしています。
ENDRECHERIについてまず最初に言っておきたいこと
まず最初に、ここではENDRECHERIの音楽について良いとか悪いとかをとやかく言うつもりではないということは言っておきたいです。
(「好きか嫌いか?」と訊かれると「特に好きになれない」のですが、それはそれ)
ENDRECHERIの音楽の何が「もやもや」するのか
ENDRECHERIについて、丸屋九兵衛さんという音楽ライターの方が記事をアップされていました。
わたしがENDRECHERIを聴いて感じていたことを説明してくれている部分もあり、すごく興味深い記事だと思います。
この記事で書いてあることを要約すると
- 堂本剛(ENDRECHERI)の曲はP-Funkの影響が大
- ミュージシャンが先駆者(ここではP-Funk)に倣い学び、継承するのはもう常識
- 先駆者の影響が大きな音楽を安易に「パクリ」と呼ぶな
- ENDRECHERIのファンクは残念なことに堂本剛ファンには届いていない。
ということのようです(だいぶ意訳ですが)
先駆者(P-Funk)の影響の表現の仕方や、先駆者へのオマージュについて堂本さん本人とファンとの間にミスコミュニケーションが見て取れるということですね。
わたしがENDRECHERIを聴いてモヤモヤさせられるのも、そういうところなのかなとも思ったりもします。
それにしてもジャニーズファン/ENDRECHERIファンは熱狂的な人も多い中で、この丸屋さんの記事もなかなか思い切っていますね。
模倣なのかオマージュなのか
ある曲が、他のミュージシャンの別の曲に似るということは良くあること。
むしろどんな曲にも似ていない完全にオリジナリティのある曲を探す方が難しい、ということは良く聞きます。
ただそういうのも「どのくらい?」という程度の話で、ENDRECHERIの音楽が(P-Funkなり)他の誰かの音楽に「すごく」似ているというのは聴けばわかる紛れもない事実なのだと。
「他の誰かに似てしまう」場合は良くある話なのだと思いますが、なぜそうなったのかと考えると
・うっかり(無意識に)
・パクリ
・オマージュ
・パロディ
といったケースが考えられるのかなと思います。
ENDRECHERIが(P-Funkなど)他の誰かに似ているのは、さすがに「オマージュ」であってパクリではないと思いますが、オマージュのやり方としてはあまりにストレートに似すぎていて、人によってはパクりと感じるのかも。わたし個人的にはかなりスレスレで「うーん、これってパクリかも」という印象も持ちましたし。
オマージュを表現することは良いとして、それが結果的に先駆者の音楽にすごく似た演奏になったとして、その事実をファンが知らないというのはちょっとやり方としてマズい気はしますね。
パクリと言わないで
オマージュ表現に関しては、ミュージシャンはパクリと言われないようにけっこう神経を使うものだと思います。
音楽にとって「オリジナリティ」というのはかなり重要な要素ですから。
おそらく多くのミュージシャンはオマージュの表現の方法はこんな感じ
・敬愛するミュージシャンのカバー曲を演奏する
(トータス松本さんのサム・クックカバーとか)
・敬愛するミュージシャンを自分のアルバムに起用する。
(プリンスがブーツィー・コリンズやメイシオ・パーカーを起用したりとか)
・インタビューなどで敬愛するミュージシャンの話題を出す、影響を語る。
(堂本剛さんもP-funkの話題はしてるけどファンには浸透はしていないみたい)
などなど。
普通は「これって○○へのオマージュなんだよな」ってファンはわかっていると思います。
例えばトータス松本さんのヴォーカルを聴いて、ファンは「あの歌い方ってサム・クックの影響だよね」とわかる訳です。
それがうまくファンにうまく伝わっていないと、目ざとい人は
オマージュとか言って過去のミュージシャンの良いとこパクってるだけでは?
と感じてしまう人も出てきてしまうのかな、と思います。
堂本さんもそれに近い状況な気はして、ただジャニーズ事務所ということでプロモーションに本人のコントロールが効かないのかもしれないですけど。
いや、そもそもENDRECHERIは誰に似ているのか
いったん話を戻して、「ENDRECHERIはP-Funkの影響大(=似ている)」という話もありましたけど、そもそも本当にP-Funkなのか?という話
わたしの個人的な感想を書くと、はじめてENDRECHERIを聴いたときはドラムの音処理とか「80年代のプリンスのカバー??」かと思いましたよ。
少なくとも「ずいぶん古い時代のファンクを演ってるのね」という印象を持ったのは覚えています。
P-Funk(パーラメント/ファンカデリック)と似ているというのはその通りな部分も多いと思います。ぶにょぶにょと絡みつくベースラインとか。
ただP-Funkと比べると、ENDRECHERIの方がよりアップテンポかも。
あとP-Funkよりもアナログシンセっぽいキーボードの音が目立つ気はするので、P-funk本隊ではなくバーニー・ウォーレルとか、70年代のハービー・ハンコックとかに近い印象を私は受けました。
ENDRICHERIファンにおすすめアルバム3枚
そういう訳で、わたしが聴いた印象にもとづくENDRICHERIファンに聴いてほしいアルバム3枚の紹介です。ENDRECHERIファンが聴いて気に入りそうなアルバム。
Bernie worrell 『Funk of Ages』
Herbie Hancock『Man-Child』
Maceo Parker『Funk Overload』
今回のブログを書く時に、70年代のハービー・ハンコックのアルバムをまとめて聴いたのですがオリジナルでカッコよいアルバムが多いですね。リストにあげた曲は『Man-Child』ですけど、『Secrets』『Thrust』などもお気に入りです。
別に
「ENDRECHERIを理解するには70年代ファンクを聴け」
なんて思わないのですけど、ENDRECHERIがきっかけでプリンスやP-Funk、ハービー・ハンコックなどのファンクアルバムを聴くきっかけになるなら、堂本さんもきっと喜ぶと思いますよ。