ドラマー、ダン・ワイスの新作『Unclassified Affections』
なんとなく盛り上がっていない(ように見える)2025年のジャズ界にあって、このメンバーは注目のアルバムですね
メンバーは
Peter Evans: trumpet
Patricia Brennan: vibraphone
Miles Okazaki: guitar
Dan Weiss: drums.
それにしても、ワイスは今作で自分がいま最も共演したいと思うメンバーを集めたアルバムを作ったんじゃないでしょうか
ワイスの前作『Even Odds』はサックス・ピアノとのトリオだったのですが、今作のカルテットもベースレス
やはりこれはインド音楽の影響なのかもしれない(インド音楽にベース奏者はいないですからね)
それにしても、このアルバムで一番目立っているのはヴィブラフォンのパトリシア・ブレナンかな
パトリシア・ブレナンは今や最も注目のジャズミュージシャン(すべての楽器でね)とも言って良いと思います
彼女はダン・ワイスとはこれまでも共演あったと思いますが、一緒にクレジットされてるアルバムで思いついたのはマット・ミッチェルの『A Pouting Grimace』かな
彼女は普段から自身のヴィブラフォン音にモデュレーションを掛けたりと、時に過激な加工を行いますが、今作では(人のアルバムなので)そういったプレイは控えめ
アルバム全体をヴィブラフォンの残響音を活かしたミッドテンポの穏やかな曲も多いですね。
ワイスが書いた曲をもとに、まずブレナンが曲のムードを提示し、それに対し他の3人がそれぞれの演奏を重ねていくという感じです
明快なメロディーがあり展開があり、聴いてて非常に心地よい。
最近のジャズを聴いて「心地よい」という感想が出るアルバムはまれです
この辺りのアルバム作りのディレクションはワイスのものなのでしょうね
ミュージシャン同士の技巧のぶつかり合いみたいなパートもかなり控えめ
ここでのブレナンのようなスローナンバーでの深みのある雰囲気づくりはピアノではできないですね。
ただその繊細さの中にもよく聴くと不協和音なども注意深く目立たないように盛り込まれていて、聴きごたえがあります
今回のアルバムは曲調が重視され演奏するには制約の多いアルバムだと思いますが、グループとして今後も続けば、(ゴリゴリのインプロのような)もっと違ったアルバムも作ってくれるかもしれません
このグループの動画、YouTubeにも全くアップされていないので、パトリシア・ブレナンのSNSから引用しますね