バンジョー奏者のベラ・フレック(Béla Fleck)
ハープ奏者のエドマー・カスタネダ(Edmar Castañeda)
ドラマーのアントニオ・サンチェス(Antonio Sánchez)
ベラ・フレックを中心にこの3人が集まって作られたグループがBEATrio
ワールド・ツアーを行い、日本のブルーノートでもライブを行ったようだ
ベラ・フレックはもともとはブルーグラスやアメリカンフォークをベースにしたバンジョー奏者ですが、ジャンルを超えたボーダレスな活動が多く、今回も彼が出会った他ジャンルのミュージシャンと共演から生まれたアルバムです
エドマー・カスタネダはコロンビア出身のハープ奏者です
このブログでも紹介したCimarrónのハープ奏者カルロス・ロハス・エルナンデの例のようにコロンビアではハープは伝統的に使われる楽器のようです。ただカスタネダは、Hiromiさんと共演したりとジャズよりの活動をしているみたい
フレックは、バンドメイトであるベース奏者のヴィクター・ウッテンからカスタネダの事を素晴らしいミュージシャンだと聞いていて、何度かセッションをしていたそう
フレックが2019年にビッグ・イヤーズ・フェスティバルに招待されたとき、フレックはカスタネダとデュオ演奏をしようと考えたことが共演のきっかけ
実際にテネシー州ノックスビルの大聖堂で行われたデュオは大成功で、「観客はみんな大興奮していた」そう
この時のデュオ演奏は動画に残っています
この動画を見るとカスタネダのプレイはすごいですね。
ハープの低音弦でベースの役割をカバーしながらギターのカッティングのようなリズム要素も演奏しています
指の腹で弦を叩くような音色を出したり、表情豊かです
そしてもうひとり、ドラマーのアントニオ・サンチェス
フレックとサンチェスのふたりですが、どうも「インドつながり」でお互いを知ることになったそうです。
サンチェスは、ザキール・フセインの父親であり、シタール奏者ラヴィ・シャンカールの伴奏者でもあったタブラ奏者アラ・ラカのトリビュートコンサートに出た縁でザキール・フセインと知り合いになったそうです
またシタール奏者のPurbayan Chatterjeeのアルバム『Unbounded -Abaad』ではフレックとサンチェスがどちらも参加しています。
『Unbounded -Abaad』に参加していたバンスリ(インドフルート)のラケーシュ・チャウレシアは、のちに、このブログでもとりあげた『As we speak』というアルバムでザキール・フセインとともにフレックと共演するなど、親密な交流を続けていますね
そういえば先日、Purbayanがサンチェスのコンサートを観に行っている写真をSNSにポストしていました
そういうインドつながりからフレックとサンチェスはお互いを知り、結果として今回のアルバムの3人で共演することになったそうです
という訳で、グループの成り立ちのところが長くなってしまいましたが、3人の演奏じたいも素晴らしいもの
アルバムの曲はフレックとカスタネダがお互いに持ち寄っているようです
アントニオ・サンチェスのドラミングは場を埋め尽くすように饒舌でさすがです
カスタネダはデュオの時とは違いスペースをうまく活かすような演奏に終始していますね
メロディアスでハープの響きを活かしたフレージングが聴きどころ
フレックもあまりアクセントや抑揚を付けずパキパキと長いフレーズを紡いでいく所は、彼の持ち味が十分出ています。
ここでの演奏は(ジャズ・フュージョン的な)かなりテクニカルな面を強調した演奏なのかもしれませんが、ハープという楽器(とカスタネダの独特な演奏)のおかげでお堅い印象はなく、他に例のないレアな演奏になっていると思いますね
うーん、みんなすごいけど、カスタネダさんはすごいよ。注目