2021年1月にグループとして初めてのEP『Dabalomuni』を聴いて以来、「これは応援しなければ」と思ってデビューアルバムのリリースを心待ちにしていたグループが、アヴァランチ・カイト(Avalanche Kaito)です。
その彼らが2022年6月にセルフタイトルのアルバムをリリースしました。
Avalanche Kaitoについては、GlitterbeatというAltın Günのアルバムなどワールド系ではわりと有名なレーベルのHPを見て知りました。
アヴァランチ・カイトのフロントマンであるカイト・ウィンセは、ブルキナファソ北部でグリオ音楽の家系に生まれ現在ではベルギーのブリュッセル在住。
ヴォーカルの他にもぺウル・フルート、口弓など複数の楽器を操るマルチ奏者で、グリオの伝統音楽だけでなく現地のさまざまなジャンルの音楽家とセッションを重ねてきた人のようです。
2020年には『Kaladounia』というグリオ伝統音楽のソロアルバムもリリースしています。
そんなウィンセ、がベルギーのアンダーグラウンドシーンで活躍する2人のミュージシャンとコンビを組んで作られたのがアヴァランチ・カイト。
このグループは、グリオの伝統音楽とポストパンクをミックスしたような中毒性の高いグループで、メディア向けの紹介文では自身たちの音楽を「グリオ・パンク・ノイズ」と呼んでいるみたい。
いやもう、こういう音は文句なしにカッコ良くて大好きで、彼らのことはなんとしてもプッシュしなければいけない。
Avalanche Kaito
Kaito Winse (vocals, tama, peul flutes, mouth bow)
Benjamin Chaval (drums, pure data, electronics)
Nico Gitto (electric guitar)
メンバーはこの3人。
ドラムのベンジャミン・シャバル(Benjamin Chaval)は、YouTubeで過去の動画などではドラムとベースのデュオによるグループで演奏していたりしましたね。あまりドラムの上手くないルインズみたいな感じでした。
メンバー3人のなかでは、このシャバルの音楽性が現在のアヴァランチ・カイトのコンセプトにいちばん近い気はします。
クレジットを見ると、シャバルは演奏にpure dataやエレクトロニクスを使って(pure data ??Maxじゃなくて???)、パンク・ノイズの音にかなり電子音的なアクセントを加えていますね。
アヴァランチ・カイトの演奏している動画はほぼこの1本のみなのですが、シャバルは横にラップトップやミキサーなど色々並べながら演奏しています。
もうひとりのヨーロッパ組メンバーであるギタリストのNico Gittoは、かつては上半身はだかで頭に変な被り物をしながら演奏する、WHY THE EYE ?というのグループに参加していたみたいです。
音じたいはエクスペリメンタル系の打ち込みと生演奏を組み合わせていて、現在のアヴァランチ・カイトとそこまで遠くはない感じ。
この2人をバックにカイト・ウィンセのヴォーカルが組み合わさるのですが、エネルギッシュでパワフル。
パンクとグリオ音楽という異質な要素が組みあわさっているのですが、勢いで押し切っている感じですね。
おそらくウィンセ自身は、よくある「アフリカ音楽と西洋音楽のミクスチャー」みたいなことをやりたい訳じゃなくて、シンプルにパンクでノイズな歌を歌いたいんだと思うのですよね。
それでも彼のヴォーカルには、彼の血肉となっているグリオ伝統音楽のスタイルがそこかしこに滲み出てきている気がします。
どうにも隠せないグリオ音楽の部分が「ピュア」であり「生々しい」
その生々しさがこのグループの音を、特別で魅力的なものにしているんだと思いますね
先行EPの『Dabalomuni』はもっと彼ららしいパンク・ノイズな曲が収録されていたのですが、セルフタイトルのデビューアルバムはグリオ寄りだったりアブストラクトな感じになったり、もう少し振れ幅の大きいアルバムになっていますね。
いやもう、彼らにはガンガン売れてほしいです。