ギリシャ・トルコの伝統音楽を演奏する6人組グループ、アサフィル(ASSAFIR)の新作 『Traversées』
前作『Digressions』はかなり良いアルバムでこのブログでも取り上げたのですが、今作は2枚目になります
メンバーは前作と同じ
Clémence Gabrielidis(ギリシャ) – ヴォーカル
Mahdi M’Kinini(チュニジア) – カヌーン
Loïc Audry(フランス) – ウード、カンバス
Adrien Séguy(フランス) – アコーディオン
Eden Gerber(イスラエル) – クラリネット、ダヴル
Niccolò Bellandi(イタリア) – レク,ベンディール, ダフ, ダルブッカ
名前の後に出身国も書いたのですが、地中海を取り囲む様々な国から集まったメンバーによって結成されたグループですね
各メンバーはアサフィルに参加するまでに様々な音楽キャリアを積んでいるようです
公式HPにバイオグラフィーはこちら
デビューアルバム当時に公式HPってあったんだろうか?
今回初めて読んで気づいたのは、カヌーンのMahdi M’Kininiはジュヌヴィリエ音楽院でクリスティン・ザイードに師事しているという事
あとパーカッション類担当のNiccolò Bellandiは、Glen Velez, David Kuckhermann, Zohar Frescoといったパーカッション奏者に師事しているらしいです
アラブ・パーカッションの世界ではグレン・ベレズがパイオニアで、David Kuckhermann, Zohar Frescoのようなベレズのフォロワーがそこからテクニカルな面を発展させたと思うのだけど、Niccolò Bellandiもそういう系譜にあるプレイヤーという事なんでしょうね
これは従来のアラブ音楽とは真逆にあるスタイルと思いますが、シャープでキレが良いNiccolò Bellandiのパーカッションはこのアルバムの聴きどころでもあります
それにしてもASSAFIRのようなグループはメンバーも他のグループやプロジェクトと掛け持ちしたりすることが多いので、全く同じメンバーでセカンドアルバムが作られたというのは偉いですね
前作もそこまで話題になっていた気はしませんし、今作もほぼ注目されていないとは思いますが。
今作はレンベーティカっぽい楽曲が演奏されている、と紹介されているようにドラマチックで情感あふれる曲調が多いですね
こういう親しみやすい曲調とテクニカルでキレの良いバック演奏のコントラストが魅力です
6人の楽器が最も効果的に配置されていて、ムダな音がなく余分な音もない感じが聴いてて伝わってきます
同じメンバーで長く続けたグループにしか出せない安定感みたいなものを感じる演奏じゃないかな
語彙力がなくて申し訳ないですけど、とにかくアルバム全体のレベルが高い
アラブ・地中海の伝統音楽を(例えばクラシックの演奏法やジャズのような)現代ならではの要素を盛り込んで演奏するというのは一つのジャンルとして確立していると思いますが、このグループ、このアルバムはそのひとつの到達点なのかもしれません