これは良い写真!ふたりともカッコ良いです。
いまのジャズシーンを代表する2人
Vijay Iyer と Rudresh Mahanthappa
彼は2人は、間違いなくいまのジャズシーンを代表するミュージシャンたちです。
前回の投稿(こちら)で、アメリカの雑誌「ダウンビート」誌の批評家投票でどんなミュージシャンが評価が高いかについての投稿をしました。
Vijay Iyerは、投稿の中で「2010年代を代表するミュージシャン」として選ばれた3人のうちのひとりです。(あと二人はWayne ShorterとCecile Mclorin Salvant)
Rudresh Mahanthappaもアルバム・オブ・ザ・イヤーを獲っているし(*)、アルト・サックス部門では去年まで3連続受賞いるし、彼も2010年代を代表するジャズ・ミュージシャンと言っても良いでしょう。
(*)「Bird Call」(2013)
べつにわたしがインド音楽好きだからって、インド系の2人をひいき目に見ている訳じゃないですよ。
まぁ「それはダウンビート批評家投票での話で、一般的な話ではないよね?」と言われたらその通りなのですが。
「大切な友人」であり「家族みたいな関係」
Vijay Iyer と Rudresh Mahanthappaは1971年生まれの同い年であり、インド系移民2世というよく似たバックグラウンドを持っている2人です。
彼ら2人の関係については、このpitchforkのインタビュー(こちら)がエピソード満載で面白かったですね。
彼らは1995年にスティーブ・コールマンに紹介されて出会い、それをきっかけに1995年から2008年という長い期間にわたって数多くのレコーディングとツアーを一緒に行うことになったそう。
Vijay Iyerは日本では『In What Language? 』も話題になりましたけど、このアルバムですらIyerはMahanthappaを起用しています。
この当時の2人の関係をイタビューではこう言っています。
Mahanthappa
「私たちはまず大切な友人で、一緒にジャズを演奏することはおまけみたいなものだと感じることもあるよ」
Iyer
「家族みたいだよね。音楽の話もするけど、母親のおかしな英語発音についてのジョークを言いあったり、いっしょにボストンへ旅行したり」引用:https://pitchfork.com/
同じじような境遇を持つ身としてやはり強い同胞意識というものがあるのかも。他にもアメリカでの人種的な話にも触れたりしていて、なかなか興味深いインタビューです。
固有名詞が多くてちょっと正確に訳す自信がないので、英語に自信のある方は原文を呼んでくださいね。
あと2人の子どもの頃の音楽体験の話も面白い。
Mahanthappaが初めてハマったのはグローヴァ―・ワシントンJrの『ワインライト』だとか。
Iyerは「高校の頃のヒーローはプリンスだったよ。実際のところ今でもそうだけどね」らしいです。意外!
それにしても、二人とも子どもの頃はインド音楽には全く触れていなさそうですね。
ふたりともインド音楽に挑戦していますけど、これは自分のルーツへのオマージュであり、変拍子などの複雑な音楽へのチャレンジということなんでしょうね。
別々の道を歩む”ソウルメイト”
10年以上もの長い間、一緒にツアーを行い、お互いのアルバムで演奏してきた2人ですけど、皮肉なことに2人ともそれぞれ別のミュージシャンと共演したアルバムで評価を高めていきます。
Vijay Iyerは『Historicity』(2010)『Accelerando』(2012)という2枚のピアノ・トリオ作品で、
MahanthappaはサックスのSteve Lehmanとの共作アルバム『Dual Identity』(2010)でそれぞれ名声を得ることになります。
これは別に2人が音楽的に相性が悪いとかそういうことではなく、たまたま他のミュージシャンと共演したタイミングで2人とも評価されたというだけのような
また二人の共演盤が聴きたいなと思いますが、その時は『Blood Sutra』のメンバーが良いかな(DrumsはTyshawn Soreyで)
『Blood Sutra』
Rudresh Mahanthappa (alto sax)
Stephan Crump (bass)
Tyshawn Sorey (drums)
Vijay Iyer (piano)