ドラマー/作曲家、タイショーン・ソーリーの新作『Continuing』は、ベースにマット・ブリュワー、ピアノにアーロン・ディールを配置したトリオによる新作
このトリオのデビュー作『Mesmerism』と、サックスにグレッグ・オズビーを迎えた『The Off-Off Broadway Guide to Synergism』と、評価の高かった前2作に続くアルバムです。
タイショーン・ソーリーはオペラを手掛けるなど、近年はコンポーザーとしての評価も高まっていて、これまでの活動は基本的には自作曲を演奏してきたのですが、今作は過去のジャズミュージシャンの曲を取り上げています。
1.「Reincarnation Blues」 ウェイン・ショーター作。Art Blakey & the Jazz Messengers『Buhaina’s Delight』収録
2.「Seleritus」アーマッド・ジャマル作。いろんなアルバムで弾いてる
3.「Angel Eyes」スタンダード曲
4.「In What Direction Are You Headed?」ハロルド・メイバーン作。Lee Morgan『Last Session』収録
という選曲で、どれも既存曲ですが、いわゆるスタンダードというのは「Angel Eyes」くらい。
かなりマイナーというか凝った選曲ですね。
というのがアルバムの簡単な基本情報なのですが、アルバムの感想を最初に書いてしまうと「うーん、これはちょっと、、」という感じであまり楽しめないアルバムでした。
あまりジャズ的なスウィング感も少なくもっさりした曲調が続くイメージです。そもそもソーリーはあまりドラムを叩かずにシンプルなリズムキープに徹している感じです。
特に「Angel Eyes」なんてほとんど超スローで極限まで音を少なくしてる。
もちろんこういうのも意図的なのでしょうけど、その意図はわたしには掴むことができませんでした。
最後の曲「In What Direction Are You Headed?」は、ベースがシンプルなリフを延々と続け、3人がそれにバリエーションを加えるのですが、これは展開が巧みで聴いてて楽しかったです。
本作はwebなどを見ててもなんとなく低調な評価っぽくて、(みんな大好き)ジャズ批評サイトJazzTrailでも
このトリオによる新しいセッションは、耳に非常に心地よい古い曲を蘇らせるという点では効果的だが、力強さと魅力という点では『Mesmerism』に及ばない。
とはっきり批判的に書いていますね。
ここではオリジナルバージョンの音源を貼っておきます(Angel Eyesは演奏たくさんあるので除外)