Fantômasや(再結成した) Mr. Bungleといったプロジェクトでも知られ、また現在のジョン・ゾーン/Tzadik関連のアルバムで最も起用回数が多いであろうベース奏者、トレヴァー・ダン
彼のソロ・プロジェクトであるTrio-Convulsantによる新作『Sèances』の紹介。
これは素晴らしいアルバムですね。パッと聴いただけで「あ、これは他と違う」とわかる、そんなアルバム。
ピアニスト、クリス・デイビス主宰のPyroclastic Recordsからのリリースです(こういうアルバムをリリースしちゃうのはさすがだなと思いますね)
Trio-Convulsantというグループ自体は、これまでに『Debutantes & Centipedes』(1998)、『Sister Phantom Owl Fish』(2004)という2枚のアルバムをリリースしているようです。
1stアルバムの『Debutantes & Centipedes』(1998)はメンバーが現在と異なり全くの別グループという感じですね。
2ndアルバムの『Sister Phantom Owl Fish』(2004)では、メンバーがメアリー・ハルヴォーソン(ギター)、チェス・スミス(ドラム)とのギタートリオになり、ハードなヘヴィー・ロックと現代ジャズを合わせたようなアルバムとなっていました。かなりハルヴォーソンのカラーの強い演奏が多かったかも。
(2004年からずっとこのグループのリリースがなかったのは「忙しかったから」ことと、「自分のグループの活動ってカネにならないんだよね」とのこと)
そして今作『Sèances』は、ハルヴォーソン、スミスとのトリオに、Folie à Quatreと名付けられた4人のプレイヤーを加えた編成。
メンバーはこちら
Trio-Convulsant:
Trevor Dunn (bass)
Mary Halvorson (guitar)
Ches Smith (drums, timpani, conga)
Folie à Quatre:
Carla Kihlstedt (viola, violin)
Oscar Noriega (bass clarinet, clarinet in Bb)
Mariel Roberts (cello)
Anna Webber (alto flute, flute in C)
現代ジャズではよくある「ラージアンサンブルほど人数の多くない」セプテットという編成で、ヴァイオリンとチェロがあることから、Tzadikなどでは良くある「クラシックと現代ジャズのミックス」という感じのアルバムです。
(ダンは、当初はストリング・カルテットとの共演を想定して曲を書いていたそうです)
『Sister Phantom Owl Fish』のヘヴィー・サウンドとは180°方向転換した感じで、この守備範囲の広さもトレヴァー・ダンならではですね。
演奏は、アコースティックベースで印象的なベースラインを弾くダンと、手数多く音を埋め尽くすスミスのドラムが全体をリードするという印象。
特にスネアをバシバシと叩くスミスのドラムが気持ちいいです。
ちなみにTrio-Convulsantというグループのコンセプトは、18世紀のフランスの、サン=メダールのコンヴィルネールというキリスト教の異端宗派から取られているそうです。