The Angelica Sanchez Nonet 『Nighttime Creatures』

 

ピアニストのアンジェリカ・サンチェスが、Nonet(9人組)形式でリリースしたアルバム『Nighttime Creatures』

クリス・デイビスのレーベルであるPyroclastic Recordsからのリリースです(このレーベルのアルバムをこのブログで取り上げるの、今年もう何度目だろう?というくらい頻繁に取り上げてますね)

アルバムリリースまでに、(途中コロナの影響もあったかもしれなせんが)6年を費やしたというこのアルバム

いや、このアルバムは素晴らしいです。ここ最近に聴いたラージアンサンブルのアルバムではいちばん好き。

ちなみに『Nighttime Creatures』というのは闇夜に潜む生き物のことで、サンチェスは森の中の小屋にこもってこのアルバムのための曲を書いたことから付けられたそうです。

アンジェリカ・サンチェスというと、正直これまであまり好きじゃないタイプのピアニストではありました。

現在はバード・カレッジで教えていて、多分かつてはマンハッタン音楽院などでも教えていたと思うのですが(間違ってたらスミマセン)、エンタメ要素薄めというかかなりシリアスなタイプのアルバムが多くて、聴いていて楽しいタイプじゃないという印象が強かったのですよね。

ただ今回のアルバムは彼女のストイックさが、ラージアンサンブルというフォーマットにピッタリとハマっている感じもします。

今のジャズの世界でラージアンサンブルというとクラシックの影響が強いんだと思いますが、この『Nighttime Creatures』は割とオーソドックスなビッグバンドっぽい展開もありますね。
1曲、デューク・エリントンの「Lady of the Lavender Mist」をカヴァーしています。

クラリネットのソロが現代風でありながら「古き良きジャズ」を演出していて、このアルバムのカラーをよく表している気もします。クラリネットはベン・ゴールドバーグとクリス・スピードという二人が担当していて、どっちがどっちかよくわからないですが。

■雑談

ところで、アンジェリカ・サンチェスとトニー・マラビーは同じ年(1995年)にアリゾナからニューヨークに移ってきていましたよね(今は知らないですけどパートナーだったはず)
二人が演奏活動をはじめた当初は共演も多かったのですが、(サンチェスが教職についたからかもしれませんが)徐々に共演はなくなっていたのですが、二人にドラムのトム・レイニーを加えたトリオを加えた編成で『Huapango』をリリースしていましたね。

多分サンチェスがPyroclastic Recoredsからアルバムをリリースしたのもマラビーつながりだと思うのですけどね。マラビーはクリス・デイビスと共演も多いですし、マラビー自身もこのレーベルから『THE CAVE OF WINDS』というアルバムをリリースしていますし。