2021年にデビュー・アルバム『サマラ・ジョイ』をリリースした、女性ヴォーカリストのサマラ・ジョイ(Samara Joy)の新作『Linger Awhile』
彼女のデビューアルバムについては前回ブログに投稿していて(こちら)、彼女のデビューまでの道のりについて簡単にまとめています。
デビューアルバムはWhirlwind RecordingsというUKのレーベルだったのですが、今作は名門というか大手のヴァ―ヴに移籍してのリリースということで、彼女にとってはステップアップと言えるんでしょうね。
メンバーは
Pasquale Grasso (g)
Ben Paterson (p)
David Wong (b)
Kenny Washington (ds)
パスクァーレ・グラッソとケニー・ワシントンは、彼女がジャズヴォーカルを学んだニューヨーク州立大学パーチェス校の講師でもあり、デビューアルバムから続いての参加になります。
やはりジャズヴォーカルにギターの組み合わせは特徴的だし、全体的なアルバムの印象はデビュー作『サマラ・ジョイ』の延長線上にあるという感じですね。
ピアノのベン・パターソンと、ベースのデビッド・ウォンも名前は聞いたことなかったのですが、若いプレイヤーでおそらくライブなどでサポートメンバーとして共演していくことになるんだろうと思います。
レーベルデビューということで、自己紹介的な意味で自身がこれまでに培ってきた演奏スタイルのアルバムにしたのかもしれませんが、「 I’m Confessin’ 」「’Round Midnight」「Someone to Watch Over Me」といったメジャーなスタンダードナンバーが多く、オーソドックスなジャズヴォーカルを聴くことができます。
ただ、デビューアルバムと今作『Linger Awhile』を続けて聴くと、「こういうスタンダードを歌うアルバムも今後も出し続けるのだろうか?」という気にもなってきますね。
彼女はまだ大学のジャズ科から卒業したばかりだし、ファーストアルバムを出したばかりでデビューしたてで、言ってみればまだモラトリアム期間にいる状態だと思うのですよね。
じゃあそのモラトリアム後に、これまでのようにスタンダード中心のアルバムを出しつづけられるかというと、それはたぶんレーベルからも彼女のリスナーからも受け入れられないと思うんですよね。
それって多くのヴォーカリストがたどる道な気もします。
人によってはオリジナル曲を歌ったり、ボサノヴァを歌ったりフォーキーな曲を歌ったり。
彼女のこれまでのキャリアの滑り出しとリリースされたアルバムは素晴らしいものだったと思います。
そんな彼女が自作以降にどんなアルバムをリリースしてくれるのか今から楽しみですね。