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なぜみんなロックフェスに満足できないのか

先週末はフジロックフェスティバルだったので、twitterのTLはまだまだフジロックの話題一色ですね。いまだにその興奮も冷めやらない人も多いみたいです。
「フェス」と言えば、少し前に放送された『NFパンチ』という番組のことを思い出したので今日はその番組について書きたいと思います。

「NFパンチ」はスペースシャワーTVというCSで放送されたサカナクションの番組です。
その中で司会の山口一郎と雑誌MUSICAの編集長である鹿野淳が、公募による一般参加者たちと音楽に関するテーマについて議論しあうというコーナーがありました。

「フェス、多すぎない?」

その中の1回で取り上げられたのが「フェス、多すぎない?」というテーマ

中身は動画を観てもらうとして、この中で印象的だったエピソードは、

「フェスでよく見る場面なんですけど、あるアーティストが1番の名曲を演奏して、もしそれがラストの曲じゃなかったとすると、多くのお客さんがそこの時点で会場を離れたり休みに行ったりする」

「サカナクションでクラブ系フェスに出演した時に20分くらいのインストの曲を演奏したことがあって、その時はすごいウケた。ただ別のフェスで同じ曲を演奏して、インストの曲が長かったのでヒット曲をあまり演奏できなかった時があったのだけど、その時は生まれて初めてブーイングを受けた」

という話。

なぜワンマンじゃなくてフェスなのか?

このNFパンチのエピソードからわかるのは、フジロック以降の日本のフェスは「出演ミュージシャンのファンになるほど不満を感じるイベント」なんだな、ということ。

実際、ワンマンライブに行った方が良いからフェスは行かないという人も多いようです。
ワンマンライブだと遠いところまでわざわざ行く必要も無いし、音楽を集中して聴けるし、ライト層向けのヒット曲中心のセットリストじゃなくてディープなファン向けの選曲をしてくれるからみたいですね。

ただ、個人的にはこういう1流アーティストが一度にたくさん見れるフェスは貴重だし、(値段は少し高い気はするのだけど)出演するグループによってはやっぱり私も観に行きたいなと思います。

フェスに不満な人は何が不満なのか

この番組の参加者の話を聞いていて、フェスに不満な人は何が不満なのか自分なりに考えてみたのですが、つまりはフェスで演奏される音楽が「あまり熱心じゃないライト層 ” だけ ” にしかアピールできていない」ということじゃないでしょうか。

例えば番組内にも出てくる「アップテンポの盛りあがる曲ばかりになる」とか「ハードコアなミュージシャンを出演させたくてもできない」とか、そういう話です。

音楽を聴くのに熱心じゃないライト層は、多くの人は音楽への興味を失ってしまいフェスを卒業してしまうし、逆にフェスをきっかけに音楽への興味を深めた人もまたライト層向けのフェスには行かなくなるというジレンマを抱えているんですね。
ただライト層は若い世代から次々に現れるので、フェスじたいは毎年続けていくことができるいうのがいまのフェスの現状だと。

こういうフェスの状況を、ミュージシャンとして参加する山口一郎さんとフェスを運営する鹿野淳さんどちらも良しとはしていない、「フェスが文化として根付いていない」と思っているように見えますね。

フェスは「お祭り」

番組の中で言われる「フェスとはこうあるべきだ」という理想のかたち、言い換えれば「フェス文化」というのは、もっと地域に根ざしたもので、ヒットチャートに入るような有名アーティストを観に行くんじゃなくて、音楽が溢れているフェスに参加することが楽しみ、というお祭りイベント的な意味だと思うんです。

そういうフェス文化は、もう少し小規模なフェスではちゃんと存在しているんだと思います。
例えば(どこでも良いのですけど)ニューオーリンズ・ジャズフェスとか、メールスジャズフェスティバルとか。

この動画はメールスジャズフェスティバル、メインライブ会場外の様子です。

メールスジャズフェスを例にあげたのは、別に「海外のフェスサイコー!」とか言いたい訳じゃないですよ。
日本でも(特に地方では)こういうリラックスした雰囲気のフェスもありますよね。
逆に海外のグラストンベリーもコーチェラでも、状況は日本のフジロックなどと同じような感じじゃないでしょうか。

こんなフェスが理想

NFパンチを聞いていても「今後フェスをどうするべきか」についてはあまり言わないので、自分なりに考えて見ると、フェスに必要なことは

落ち着いて音楽が聴ける環境づくり
芝生で横になったり、なんなら椅子設置でも良し
攻めのセットリスト
ヒット曲優先はやっぱりやめるべき。たとえそれでお客さんが離れても。
フェスならではの出演者
他で見れないグループ。参加ミュージシャン同士のコラボとか。プレミア感大事
といったところでしょうか。

今回のフジロックでも、主にマナー面でいろいろ運営に不満を感じる人が多かったようで、
「禁止されている折りたたみイスが放置されていて、危ないしジャマ」
「ステージ付近でタバコ吸ってる」
「ゴミ多すぎ」
「禁止の動画撮影をずっとしてる」
「テントで◯◯してる」
などなど、SNSで怒りの投稿をする人が多数いました。
こういった意見が出るのまあわかるのですが「まあしょうがなくない?だってフェスなんだし」と割り切るしかないですね。

これが理想のフェス映像!

「理想のフェス」は冗談ですけど、これは2013年のメールスジャズフェスの様子。
マイク・パットンがヴォーカルのグループ、Moonchildです。
メインステージは椅子席で室内のようです。
冒頭おそらく地元の年配の方が映りますけど、こういう方たちがパットンのスクリーミングシャウトを楽しんで聴いているってステキじゃないですか?