いまアメリカで最も「人気のある」ジャズミュージシャンについて、いきなりですが結論から書きますね
それはチック・コリアです。
あと意外なところではケニー・ギャレットも人気です。
前回のダウンビートの批評家投票の結果(こちら)につづいて、リーダーズ・ポール(人気投票)の結果についてまとめてみた結果です。
そもそもジャズはアメリカで聴かれていないジャンル
「人気のあるジャズミュージシャン」という時に注意しないといけないのは、アメリカではジャズじたい昔から人気がある音楽ジャンルでは無かったし、それは今も変わっていないということですね。
R&Bやカントリーやポップスなどに比べてマイナーな音楽なのはアメリカでも変わりません。
数少ない「ジャズを聴く」という人たちも、聴くミュージシャンといえば過去のレジェンドたち(ジョン・コルトレーンやセロニアス・モンクなど)のアルバムで、現役のミュージシャンはさらに聴かれていない状況のようです。
アメリカではジャズは「おじさんの聴く古臭い音楽」というのが実際のところじゃないでしょうか
こういったジャズが聴かれていないアメリカの状況では、現役ミュージシャンの人気投票じたいがかなりニッチでもありますね。
「そんなの投票に意味あるの」と言われると「あまり意味は無い」ということになるのですが、まぁ気軽に見てもらえれば良いと思います。
批評家投票 or 読者投票
批評家の投票とリスナーの人気投票ではもちろん違う結果になりますよね。
たとえばポピュラー音楽のランキングサイトAOTYなどでは、「Critic Score」と「User Score」の両方を掲載して選べるようにしていますね。
熱狂的なファンによる組織票など、ユーザーの投票はあまり参考にならないというのが定説ですし、どちらかというと批評家投票の方を参考にする人が多いんじゃないでしょうか。
リスナーの人気投票はやっぱり選ばれるアルバムの出来に偏りがでるのだけど、「こういうのが最近は人気なんだ」という確認にはなりますよね。
ダウンビート リーダーズポール結果
結果は2013〜2017年の5年間です。(2018年は記事が見つからず、、)
目立った結果を抜粋しますね。
Jazz Artist
2013年 Wayne Shorter
2014年 Chick Corea
2015年 Chick Corea
2016年 Kamasi Washington
2017年 Chick Corea
チック・コリアが、5年のうち3回の「Jazz Artist(=アーティスト・オブ・ジ・イヤー)」を受賞という結果でした。意外というかチック・コリアの人気はすごいですね。
いま1番人気があるのがチック・コリアだ、というのはこのことが理由です。
2013〜2017年を5連覇したミュージシャン
トランペット Wynton Marsalis
ソプラノサックス Wayne Shorter
ギター Pat Metheny
ベース Christian McBride
ドラム Jack DeJohnette
ヴォーカル Diana Krall
さすがに各楽器のビッグネームばかりですね。まぁ人気投票だとすれば妥当なセレクションで「まぁそうなりますよね」という感想です。
Christian McBrideとJack DeJohnetteの2人は、人気投票だけではなく批評家投票でもずっと1位をキープしていて、人気と評価を兼ね備えているミュージシャンと言えそうです。
ウィントンは、批評家にはあまり評価されていないみたいですけど、リスナー人気はすごくあるんですよね。
ヴォーカルは、批評家投票ではCecile Mclorin Salvantの評価が高いのですけど、ファンのお気に入りはDiana Krallみたい。
ピアノ部門は、ハービー・ハンコックとかチック・コリアとかが票を分け合う感じ。
こういう人気投票だとブラッド・メルドーとかビジェイ・アイヤーみたいな人はあまりお呼びでないみたいですね。
その他、気になった部門
テナーサックス部門:クリス・ポッターは、最近3年(2015-2018)を連覇
アルトサックス部門:Kenny Garretが3回受賞しています(2013,2014,2017)
この結果はすごく意外。ケニー・ギャレットってアメリカでなんでそんなに人気なんですかね?
詳細結果はこちら
日本での人気や評価とはけっこう違っていて、意外な発見もあって面白いですね。