ヴィブラフォン奏者、パトリシア・ブレナンの3枚目のアルバム『Breaking Stretch』は、新たに結成したセプテットによるアルバム
レーベルはPyroclastic Recordsで、ユタ州に本部を置く非営利団体The Shifting Foundationからの援助を受けて制作されています。
(この同じ援助を受けて作られたレコードとしては、このブログでも取り上げたチェス・スミスの『Laugh Ash』などもあります)
今回のセプテットは、前作『More Touch』のカルテットにホーン隊3人が加わった編成
Jon Irabagon – alto and sopranino saxophones
Mark Shim – tenor saxophone
Adam O’Farrill – trumpet (with electronics on tracks 1, 3 and 9)
Marcus Gilmore – drums
Mauricio Herrera – percussion
Kim Cass – bass
Patricia Brennan – vibraphone with electronics, marimba
3管ホーン隊というのはモダンジャズでは普通に採用された編成だと思いますが、今だとむしろラージアンサンブルに近いイメージなのかもしれません。
この編成少な目のラージアンサンブルというのは流行りなのかも
今回呼ばれたホーン隊3人もわりとそうした「編成少な目ラージアンサンブル」で良く名前を見る気がしますし、
例えばAdam O’Farrillは、ブレナンも参加していたMary Halvorson Amaryllis Sextetの『Amaryllis』メンバーでもありました
Jon Irabagonは、Mary Halvorson Octetなどに参加したり、マット・ミッチェルの『A Pouting Grimace』でブレナンと共演したりも
Mark Shimはブレナンと共演の記憶はないのですが、Steve Lehman『Travail, Transformation, and Flow』やVijay Iyer『Far From Over』などに参加していますね。
(ちなみに、どのアルバムも高度な作曲と斬新なアレンジが光る素晴らしい作品だと思いますね)
『Breaking Stretch』
ブレナンの『Breaking Stretch』も上記に挙げたような作品のように、作り込まれた作曲と緻密なホーンアレンジが施されたアルバムだとは思いますが、実際に聴いていると、ラテン・パーカッションがかなり演奏のカラーを決めているような気がします
とはいっても、あまりラテン特有の華やかで能天気なムードはなし
全体的にテンポも早め。ラフでシンプルなフレーズを繰り返し、ラテン音楽にあるドライブ感というか焦燥感だけを抜き出してきたような演奏と言えるのかも。
音圧が高いというか、洪水のような音が重なりあい、エネルギッシュで迫力のあるアルバムになっていると思います
いや、必聴でしょう、これ
余談
最後に全然関係ない話
Jon Irabagonは見るたびに風体が変わっているのですが、一時期のジョー・ロヴァーノのコスプレみたいな髪型と服装は、どうも今ではもう止めたみたいです(それがどうしたって話ですが)