今回はSNSでたまたま見つけたパスクァーレ・グラッソ(Pasquale Grasso)というギタリストについて紹介しますよ。
(元のweb記事は こちら)
Vintage Guitar マガジンという雑誌のインタビューで、パット・メセニーはグラッソについて
「私が生涯見た中で、ベストのギタープレイヤーだ」
と評したそうです。
「新人では」とか「最近では」とかいうことではなく「今まで見た中で」ということ。
もう最大級の賛辞ですね。
彼のHPにはもう少し詳しいコメントが掲載されています。
「「ほとんどのギター・プレイヤーは、自分(メセニー)やジョン・スコフィールド、ビル・フリゼールのスタイルがミックスされているように聴こえるのだけど、パスクァーレは他のギタープレイヤーに全く似ていないんだ」
「彼はピアノのバド・パウエルから影響を受けているようだけど、パウエルのピアノスタイルを信じられないくらい見事にギターで表現しているよ」
引用元:https://www.pasqualegrasso.com/
パスクァーレ・グラッソ ショートバイオ
パスクァーレ・グラッソ(Pasquale Grasso)は1988年イタリア生まれ。
もともは兄のルイジ・グラッソ(Luigi Grasso)さんが喘息の改善のためにサックスをはじめたことがきっかけで、弟であるパスクァーレも音楽をはじめたようです。お兄さんと共演できるようにと彼はギターを選んだようです。
家ではチェット・ベイカーなどのジャズを聴いていて、のちに地元イタリアでプロジャズギタリストのレッスンを受けてきたのだとか。
パスクァーレがまだ10才のころ、ピアニストのバリー・ハリスがスイスで開催していたジャズ・ワークショップに参加し、そこで兄弟ともどもその音楽の才能を認められていきました。
(兄のルイジは現在でもヨーロッパを中心に活躍しているサックス奏者ですが、ウィントン・マルサリスから「10年に1人の逸材」と言われるほどのミュージシャンに成長しているそうです。兄弟そろってすごいです)
2人はワークショップで教わっているうちに、まずはワークショップのギターレッスンのアシスタントになり、最後にはヨーロッパ全土のワークショップを統括していくことになります。
この当時の貴重なコンサート映像が残っていました。最初にバリー・ハリスがパスクァーレとルイジを紹介しています。2005年でパスクアーレはまだ17歳の時の映像。長髪ですね。
パスクァーレはその後、ジャズ演奏に役立てるためにボローニャの音楽学校でクラシックギターを学び、卒業後にNYに移り住んだそうです。
彼が注目を浴びたのは、2015年にはウェス・モンゴメリー国際ジャズギターコンペで優勝したことが大きなきっかけでした。
その時の動画が残っています。(Grassoの演奏は 4:28〜)
コンペなのでかなり気合の入ったスピーディーでテクニカルな演奏です。
この動画を観ても、わたしには彼がどれくらいすごいのか全くわかりません。。
それにしても、ヨーロッパ出身でNYに来てからコンペで注目されるというのは、なんとなくLage Lundと共通点も感じさせるキャリアですね。
クラシックギターをベースにした圧倒的なテクニックや、なんとなく地味な風貌からメガネまで良く似ています。
パスクァーレ・グラッソのデビュー後の活動
パスクァーレ・グラッソは今ではNYで活動していて、毎週Mezzrowという小さなクラブで定期ライブを行っているようです。
レコーディングなども行っているのですが、アルト・サックスのChris Byarsなど、はっきり言ってあまり知名度のないミュージシャンとしか共演していないようです。
あとはギターワークショップみたいな活動とかも多いみたい。
いくら才能と圧倒的なテクニックがあっても、31才(2019年時点)というのはまだ新人扱いでレコーディングなどの大きな仕事もないので、教える側の仕事が貴重な収入源なのかも。
そして最近ではソロ・ギターによるスタンダード集をリリースしています。
けっこうベタな選曲のいわゆるスタンダード集ですね。どういう層がターゲットなのかわからないですが、、
まぁソロギターも良いですけど、やっぱり自身名義のトリオかカルテットでのアルバムを早く聴いてみたいですね。
NEA Jazz Masters - パット・メセニートリビュート
他に目立った活動として、NEA Jazz Mastersコンサートの中のパット・メセニートリビュートプログラムの演奏もありました。
Camila Meza, Gilad Hekselmanらと共演している、なかなか強力なメンバー。
ベースはクリスチャン・マクブライド、ドラムはアントニオ・サンチェスの、まさにメセニートリビュートのリズムセクションです。
こちらも動画が残っていました。
プレイは文句ないのですけど、ギタリストの中でひとりだけ座っているのはなんともステージ映えしませんねー。
後半の”Minuano(Six Eight)”はこのライブのハイライトですが、オリジナルでのPedro Aznarのパートを歌うCamila Mezaはなんというか、、ちょっとアレでしたね。
パスクアーレはジャズギターの新しい可能性を感じさせる逸材と思いますけど、アルバムなどでも「まだ本気出していない」状態だと思いますので、これから要チェックですね。