以前CSで放送されていたサカナクションの『NFパンチ』という番組のコーナーで、音楽のいろんな話題について参加者が語り合うという企画がありました。
この番組内のロックフェスの話題に関する話題でたまたまネットで目についたのですが、他にも様々なテーマがあって興味深かったです。
その中で、この動画は見ていてちょっと衝撃的だったこともあり、感想を書きたいなと思っています。
テーマ:CDは必要?
まず最初に参加者に順番に「CDが必要か」というテーマについて意見を訊いていくのですけど、
ほとんどみんな「必要だと思います」「必要だとは思わないけどあっても良いと思います」みたいな賛成よりの意見を言っちゃうんですよね。
わたしなんかはCDというフォーマットが必要な人なんていないと思っていたので、いきなりここで「えっ?」ってなっちゃいました。
参加者が考える「CDが必要」な理由をざっくりまとめると
「CDというフォーマット・アートワーク含めてアーティストの”作品”だから」
といったことみたいです。
個人的にはCDは別に必要ない
「CDは必要か?」について個人的には別に必要ないと思う理由は、
CDに記録されている音楽はすべてデジタルデータなのだから、基本的にはストリーミングやダウンロードと同価値だと思っています。
(こういう意見は、番組の参加者などからしたら「音楽への愛がない」発言なのかな??)
■音質問題
CDに変わるメディアとして引き合いに出される「定額制サービス」について言うと、「定額制サービスはリニアPCM音質じゃないからダメ、やっぱり音質はCDが良い」という意見は確かに納得ですね。
定額制サービスでリニアPCM音質をストリーミング配信できるサービスはまだ無いはずなので。
ただ個人的には、音楽を聴くのに音質にこだわりすぎるのはあまり意味がないと思っています。
最低限「鳴らされている音がちゃんと聴けてノイズが気にならない」ことが重要で、320kのmp3でも十分だと思う。
もっと高音質で聴こうと思えばヘッドホンやスピーカーなどいくらでもグレードアップできるのだし、
それにTIDALなど非圧縮での配信サービスがもうすぐに開始されそうな雰囲気もあり、すぐにCDとの差は無くなりそうです。
むしろ24bit化でダウンロード可能になったりすると、16bitのCDは「音質的に劣ったメディア」になる可能性が高いのではないでしょうか。
80年代にCDが発売されたときには、レコード派の人は
「レコードの方がCDより音質が良い」「レコードの音はガッツがある」
みたいなことを言っていたようですが、定額制サービスが24bit化してしまったら、さすがに「16bitのCDの方が高音質」という人はいなでしょう。
(「ロックには16bitのローファイ感が合っている」とか言っちゃったりして、、)
■歌詞カードやDVDなどの特典がある
どうしてもCDで買うという人は、ブックレットでミュージシャンの写真とかを見るためなんじゃないでしょうかね。
要は音楽以外の「おまけ」が付いてくるからCDを買うということ
それはそれで良いとは思うのですけど、なおさらCD自体に価値は無いという話になりますよね。
「CDショップだと新しい音楽との出会いがある」という意見もあったのですけど、ちょっとピンと来ないですね。
視聴CDみたいなのを言ってるのかもしれないですが、視聴機で聴けるCDはそんなに多くないし、むしろ定額制サービスの方がいろんな音楽に簡単にアクセスできて新しい音楽に出会う可能性があると思いますけど
参加者の偏った意見に違和感
こういう番組っていろんな意見で議論を戦わせるのが良いところで、せっかくテーマを2択にしてディベートスタイルにしているのに、ほとんどみんな一報に偏った意見というのはちょっと残念です。
番組で公募したのにこれだけ意見が偏った参加者が集まるのは、それは司会者ふたり(山口さん・鹿野さん)の考え方が色濃く反映からじゃないかな?
公募者はおそらく司会者ふたりどちらかのファンだし、「司会者ふたりが望むコメントを言わねば」というバイアスがかかっているように感じちゃいますよね
朝まで生テレビみたいな罵りあいは下品でイヤですけど、他の人の意見に「それちょっと違うんじゃない?」みたいになってピリッとするシーンが無いと、議論が「ハネない」ですよ。
そもそものテーマである「CDは必要か」についてみんな同じ意見で話が続かないから、議論が「AKBの握手券商法」みたいなあらぬ方向に反れている気がします。
「うーん、AKBみたいなそういう特殊な話がしたいの?」と思っちゃう
まとめ
CDには「アート」と「エンタメ商品」というふたつの側面がありますよね。
エンタメ商品は当然売れることが目的で、その価値も売り上げという数字で語られますよね。
別に「このミュージシャンはアート系」「彼のCDは商品」とすっぱり分けられるものじゃなくて、1つのCDがアートと商品の2面性を持っているものだと思います。
司会のふたりも参加者も基本的に音楽を(CDを)アートとして”しか”とらえていないようで、ちょっとそこが気になりました。
あと司会者ふくめ参加者みんなに漂う「CDという愛着のあるメディアが廃れていく」現状に対するもどかしさみたいなものだけはイヤというほど伝わってきましたね。