インド古典音楽と言えばヴォーカル、特に女性ヴォーカルが最高ですよね
インド音楽ではもちろんシタールなどのメロディー楽器も使われるのですけど、演奏する時のヴィブラートなどのテクニックも「いかに人が歌うように演奏できるか」を考えて発展してきたようです。
インド古典音楽は基本は歌ありきの音楽ということですね。
Kaushiki Chakrabarty ~インド古典声楽のサラブレッド~
インド古典音楽の中で、個人的に1番好きなヴォーカリストがコルコタ出身のKaushiki Chakrabartyです。
彼女は1980年生まれで(2019年現在は)まだギリギリ30代ということですがインド音楽の世界では中堅どころなんでしょうか。インド古典音楽ではもっと高齢のヴォーカリストもたくさんいますけど。
ただ、中堅と言ってももう30年近くもトレーニングを積んでいる訳ですけどね。
彼女の父親はAjoy Chakrabortyという古典声楽の超有名ヴォーカリストです。音楽一家で育ち幼い頃からレッスンを受けていたということで、まさにサラブレットですね
この動画は幼い頃のKaushikiが父親からレッスンを受けている様子です。
伸びやかな高音と完璧なヴォイスコントロール
わたしが彼女を初めて聴いたのは確かYouTubeの動画だと思います。YouTubeのAIがインド音楽の閲覧履歴からオススメしてきたのかも。
インド音楽の女性ヴォーカリストは、(わたしが詳しくないだけかもしれないですけど)割と低音で深みのある声の人が多いように思います。その反面、Kaushikiは高音部がクリアで、伸びがある声が魅力ですね
この動画は、Darbar Festivalというロンドンで毎年開催されているコンサートの映像。
Darbar Festivalはインド音楽の超大物も出演するインド古典音楽の一大フェスティバルですね。彼女はKhayalというセミクラシックの歌を聴かせてくれています。
Khayalというジャンルは、この動画のように喉を使って声を震わせる歌い方を多く使うようです。ペルシャ音楽のタハリール唱法とかと近いかも。
これだけめまぐるしく音程が変わる曲を正確なピッチで楽々と歌いこなすさまは、やっぱりトレーニングの賜物なんでしょうね
彼女の映像を初めて観たときに、すぐにファンになってしまいました。
Kaushiki Chakrabarty おすすめアルバム
『Kaushiki』(2008)
彼女は古典声楽の他にも映画音楽っぽいアルバムもたくさんリリースしていますが、わたしは古典の『Kaushiki』(2008)というアルバムが一番好き。
1枚目のスタジオ録音で2・3枚目のライブ録音ともうたっぷり聴けます。
まだ20代後半の頃の録音で、アルバムジャケットだとまだ少し幼さの残る顔をしていますが、ヴォーカルは堂々としていて円熟のテクニックを聴かせてくれます。
ちょっとトリビア
彼女のプロフィールを読んでいると面白いのは、以前は毎週日曜日にテレビのトークショーを持っていたりしたみたいです。
番組では歌ももちろんですけど、トークとかゴシップ(!)とかもあったり。音楽コーナーではプロデューサーである夫や父親をゲストに呼んだりしてたらしいです
コルコタではもう有名人なのかもしれないですね。