The Book Beri’ah 4枚目はジュリアン・ラージ、ギャン・ライリーという2人のギタリストによるデュオアルバム。
2人のデュオ演奏というのも初めてではなく、『Midsummer Moons』というアルバムですでに共演済み。
この2人にさらにギターのBill Frisellを加えた『Nove Cantici Per Francesco D’Assisi』というギター・トリオアルバムもレコーディングしており、このギターのみという編成はJohn Zornのお気に入りのようです。
かつてはMasada gutiarというアルバムで、Masada曲をソロギターで弾くという試みもありましたが、そのアップデート版という位置づけなのかも。
ソロ/デュオによるMasada
Masada曲集に起用されるミュージシャンは基本的にジャズの人が多くて、トリオやカルテットといった編成で演奏しているミュージシャンが多いです。
ただMasadaは本来は作曲に重きを置かれているプロジェクトなので、特にスローテンポで原曲をじっくり聴かせるタイプの曲はソロ・デュオなどの小編成も多いように感じます。
これまでのMasadaアルバムでこういったスタイルのアルバムとしては、
・3人のギタリストによるギターソロ集『Masada Guitar』
・Mark Feldman/Sylvie Courvoisierによるデュオ『Masada Recital』『Malphas: Book of Angels, Volume 3』
・Erik Friedlanderソロによる『Volac: Book of Angels, Volume 8』
などがありますね。
今回のアルバム『Chesed』でのデュオ演奏は、基本は2人のどちらかがメロディを演奏し、もう一方がバッキングをするスタイル。
これまでの小編成でのMasadaと同じように長いソロやインタープレイなどはほぼ無く、いわゆるジャズっぽいスリリングな展開は期待できないのですけど、アコースティックギターの弦の響きでメロディを美しく聴かせることに重点を置いたクラシック風/室内楽風のアルバムですね。
Gyan Rileyというギタリスト
メンバーそれぞれについてですが、ジュリアン・ラージの他のアルバムについてはこちらにも紹介していますので見てください。
もう1人のギタリストであるギャン・ライリーは、ミニマルミュージックのパイオニアとして知られるテリー・ライリーの息子であり、親子共演も多い(七光りっ!)ようです。
ただジャズミュージシャンでは無いこともあり、このMasadaプロジェクト以外はあまり馴染みが無いミュージシャンですね。
ライリーは普段からソロやデュオでの演奏が多く、今回もライリーがやりやすいスタイルを選んだのかも。
基本彼はクラシック/現代音楽フィールドのミュージシャンみたいですが、東ヨーロッパの民族音楽を語る時に良く紹介されるチェコのイヴァ・ビットーヴァとEviyanというグループで共演しているのは面白いですね(ビットーヴァ自身もヴァイオリンを弾き、現代音楽的なアプローチをするミュージシャンではありますが)
他にもライリーは、Tablaのザキール・フセインと共演した『Melismantra』というアルバムもあります。
このアルバムでのザキールはあらかじめ決められたように叩いているという感じであまり面白い演奏では無かったですね。