ファゴット奏者・作曲家、ジョイ・ギドリー(Joy Guidry)の新作アルバム『AMEN』
ギドリーに関しては、2022年のアルバム『Radical Acceptance』をたまたま今年聴いて、その時にブログ投稿しており、彼女のプロフィールなどは前回のブログにまとめて書きました
その時に『AMEN』という新作がリリースされる情報はすでに発表されていたので、新作が出るのを待ってまとめてブログ投稿しても良かったのですが、おそらく『AMEN』はクラシックっぽいアルバムになりそうなことが言われていてあまり自分が好むタイプの音楽じゃないかなと思い、『Radical Acceptance』についての投稿のみ先出ししていたんです
それなのに今回改めて『AMEN』の投稿をしているのは、当初思っていたような雰囲気のアルバムではなく、また今作『AMEN』もまた素晴らしい作品だったから
数ヶ月前も経たずに同じミュージシャンについて続けて2投稿というのはレアですね
『AMEN』
このアルバム『AMEN』は、タイトルからわかる通りゴスペルやスピリチュアルなジャズを全面に出したコンセプトのアルバム
彼女はテキサス州(ヒューストン)出身で、土地柄的にも当然のように毎週末は教会に通うといった環境で育ったそうです
このアルバムでは、これまでの彼女の音楽からはあまり聴けなかったブラックミュージックの要素がまず耳につくのですが、パワフルでエモーショナル
そこに、従来の彼女の持ち味である即興演奏や、癒しを感じさせるアンビエントコンポジションがミックスされ、振り幅の大きなアルバムになっています
そういったさまざまな音楽の要素が、1曲の中でもしくは何曲か渡ってダイナミックに移り変わっていくる様が、彼女の音楽のひとつ魅力となっていますような気はします。
Bandcampによる『AMEN』参加ミュージシャンのクレジットはこちら
Performers: Jillian Grace, Ekep Nkwelle, Jay St. Flo, Niecy Blues, Keiyaa, Alexvndria, Kalia Vandever, Morgan Guerin, Tyrone Allen, Jon Thomas, Jessie Cox, Diego Gaeta, Scott Li, Brandon Cordoba
名前だけで何の楽器を担当しているかのクレジットが無くて、わかりづらいですね、、
正直あまり聞いたことのない名前が多く並んでるのですが、トロンボーン奏者のカリア・ヴァンデヴァー(Kalia Vandever)はジョエル・ロスのアルバムに参加したり最近ソロ・アルバムをリリースしたりしていましたね
ヴァンデヴァーは過去にギドリーのライブにも参加していましたね
(『AMEN』には参加していないですが)ベーシストのニック・ダンストンも前作『Radical Acceptance』やライブなどでギドリーと共演の多いプレイヤーなのですが、ヴァンデヴァーのソロアルバムにダンストンが参加していたり、このあたりはちょっとしたサークルになっているのかもしれません。
他の参加ミュージシャンで目につくのは、あとはマルチ奏者のモーガン・ゲリンかな
彼はすでにけっこう売れっ子なんじゃないかと思いますが、こういったタイプのアルバムで名前を見るのは少し意外でした
ドラマーのジェシー・コックス(Jessie Cox)はライブも含めて彼女のグループではほとんどのドラムを担当しているプレイヤーみたいです
それにしてもギドリーの音楽の引き出しの多さは驚きですね
『AMEN』にもさまざまなタイプの音楽が演奏されるのですが、その『AMEN』も前作『Radical Acceptance』とはかなり印象が違うし、ライブはライブでまたアルバムとは違ったタイプの曲を演奏しています(ギドリーがラップのようなポエトリーリーディングを聴かせることなども)
『AMEN』で演奏される曲も、彼女の内からあふれ出るパッションの、ひとつの側面でしかないということなのでしょう
もし彼女が次のアルバムをリリースするなら、おそらくそれも『AMEN』とは全く違ったものになるんだと思いますね
ただギドリーはちょうど今年カリフォルニア大学サンディエゴ校の学位を取ったそうなので、彼女の今後の活動がどうなるのか良くわかりません
ニューヨークや東海岸を離れると、ジャズの主要なメディアの露出は減るだろうし
いずれにしても、この後もいろんなタイプの彼女の音楽をもっと聴いてみたいですね