今日のブログ投稿はまずこの動画をみて欲しいです。
この動画はベーシストのMoppa Elliottをリーダーとする Mostly Other People Do The Killing(MOPDtK)というグループで演奏するサックス奏者のジョン・イラバゴン(Jon Irabagon)のソロ。
意味不明のアクションから変なうなり声まで出してて、ガンガン観客にウケてます。
気取ってカッコつけて演奏するジャズミュージシャンなんかよりも、力ずくでも観客を盛りあげるショーマンシップが超カッコ良いじゃないですか!!
ジョン・イラバゴン(Jon Irabagon)とは
ジョン・イラバゴン(Jon Irabagon)は、シカゴ出身のフィリピン系アメリカ人でサックス奏者。20代でNYに移り住んでからはManhattan School of Musicでデイブ・リーブマンなどからサックスを学び、その後ジュリアード音楽院で Victor Goinesという方に師事したそう。
その後、最初に紹介したMOPDtKなどでプロとして活動する中、2008年のセロニアス・モンク・コンペティションで優勝し一躍注目されたよう。
その後も、ソロだけでなくいくつもの重要なジャズグループをかけもちする最重要サックス奏者のひとりと言っても良いのじゃないでしょうか。
それにしてもイラバゴンの名前は聞いたことがあったのですが、最近までなんとなくチェックしていませんでした。
いや、それにしてもこんな素晴らしいミュージシャンの演奏を聞き逃していたというのは全く不勉強ですね。ただただ反省です。
彼のプレイスタイルというと「ゴリゴリと絶え間なく吹き続ける」みたいなイメージを勝手に持っていたのですが、実際に彼の音源を聴いてみるとフリーキーでアヴァンギャルドな演奏から、オーソドックスな4ビートジャズまで幅広いスタイルを吹きこなすことができるプレイヤーのようです。
(ゴリゴリ吹くというイメージは、彼の『FOXY』というソロアルバムのレビューからきているのかも。このアルバムは確かにゴリゴリ吹いているみたいですし)
ここでは彼の活動ごとにアルバムを紹介しますよ。
Mostly Other People Do The Killing 『This is Our Moosic』
Jon Irabagon (saxophone)
Matthew “Moppa” Elliott (bass)
Kevin Shea (drums)
Peter Evans (trumpet)
いや、このジャケットも最高じゃないですか♪
MOPDtKはピアニストや追加のホーン奏者が参加する場合も多いのですが、このアルバムはジャケットをパロディしているオーネット・コールマン・カルテットと同じピアノレス編成。
こういう風にアヴァンギャルドな演奏をキープしつつエンターテイメントとして成り立たせているジャズグループって少ないと思うんですよね。近いテイストのグループとしてはSex Mobとかでしょうか。ただ、MOPDkKの方がSex Mobよりは演奏のキレは断然上だと思います。
イバラゴンだけでなく、ピーター・エヴァンスのトランペットの疾走感は素晴らしくて、もう最高のコンビですね。
Jon Irabagon Quartet 『Behind The Sky』
Jon Irabagon(tenor saxophone)
Luis Perdomo(piano)
Yasushi Nakamura(bass)
Rudy Royston(drums)
Tom Harrell(trumpet)
イラバゴン自身名義のカルテットですが、トム・ハレルがゲストで3曲に参加したアルバム。このジャケット、なんなのでしょうか?雪山を歩いてますよ!!
ここではイラバゴンの、コンテンポラリーでオーソドックスなサックスプレイが聴けます。基本的にはこのグループではテナーを吹くようです。
それにしても今のジャズミュージシャンはどんなスタイルを演奏しても一流ですね。
バックで目立っているのはなんといってもドラムのRudy Roystonで、ハデに叩く訳でもなく、センス勝負のドラミングですね。Brian Bladeのようなのをイメージしてもらうとわかりやすいかも。Roystonはイラバゴンとは他のグループでも共演も多く、お気に入りドラマーなのかも。
Dave Douglas Quintet『Brazen Heart』
Dave Douglas(trumpet)
Jon Irabagon(tenor saxophone)
Matt Mitchell (piano)
Linda Oh(bass)
Rudy Royston(drums)
デイブ・ダグラスによる、いまのジャズシーンを代表する豪華なメンバーによる意欲的なカルテット。
アメリカ本土以外にルーツを持つ二人(イラバゴン、リンダ・オー)を起用するというのも意図的なのでしょうね。ダグラスはたくさん女性を起用したグループなども結成したりしていますしね。
2曲のトラディショナルを除いて全てダグラスの曲ということで、完全にダグラスカラーのアルバムなのですけど、マット・ミッチェルが普段とは違うメロディアスなピアノを弾いますね。イラバゴンのプレイはというとわりと控えめですかね。
Mary Halvorson Quintet 『Bending Bridges』
Jonathan Finlayson (trumpet)
Mary Halvorson (guitar)
Ches Smith (drums)
John Hébert (bass)
Jon Irabagon(sax)
イラバゴンはMary Halvorsonの重要なコラボレーターでもありますね。Octet やSeptetなど編成が変わってもホーン奏者としてほぼ毎回イラバゴンが呼ばれています。
このグループもHalvorsonのコンポジションが聴きどころなので、イラバゴンも各メンバーのソロも控えめです。