ジェイミー・バウム(Jamie Baum)『Bridges』レビュー

このブログは、音楽ジャンルというとジャズとエスニック音楽(特にインド音楽)について取り上げることが多いです。

ジャズもインド音楽それぞれのジャンルも好きなのですけど、(数は少ないですが)ジャズとエスニック音楽をミクスチャーした音楽についてもすごく好きで、もう知っている音楽は全て紹介しようと思っています。

そんな中、最近フルート奏者のジェイミー・バウム(Jamie Baum)の存在を知ったのですが、彼女のアルバムも民族音楽テイストを取り入れていていて、まさに好みの音なんですよね。

こちらは彼女が2018年にリリースした『Bridges』

Personnel
Jamie Baum(Flute, Alto Flute)
Sam Sadigursky  (Alto Saxophone, Bass Clarinet)
Zack Lober  (Bass)
Jeff Hirshfield  (Drums)
Chris Komer  (French Horn)
Brad Shepik  (Guitar)
Jamey Haddad (Percussion)
Navin Chettri (Percussion, Voice)
John Escreet  (Piano)
Amir ElSaffar(Trumpet)

このブログでも取り上げた大好きなギタリストであるBrad ShepikやトランペットのAmir ElSafferといったところが有名どころのプレイヤーかな。

このアルバムも全編エスニックテイストという訳じゃなくて、彼女がふだん演奏しているジャズと、エスニックなテイストの曲が混在している感じです。
アルバムトータルでコンセプトを持たせている訳ではなく、アルバムはある時期の活動をコンパイルしたもの、と割り切って考えているのかも。

アルバムの聴きどころである組曲“Honoring Nepal : The Shiva Suite”はネパール地震をテーマにした組曲で、NYのルービン美術館からの委託で書かれた曲のようです。
シンギング・ボウルの響きなどが割とイージーな感じのアジアテイストを醸し出していて、ヨガのBGM風というかニューエイジっぽい響きも無くはないのですが、静かな曲の中に緻密に組み上げられて編曲されたアンサンブルが素晴らしいですね。
ジャズといってもどちらかというとラージ・アンサンブルを聴いている感じの曲です。

Jamie Baum かんたんBiography

ジェイミー・バウムはアメリカ・コネチカット州生まれ。母親はジュリアード音楽院でピアノとトロンボーンを専攻したという音楽一家に生まれたようです。子供のころには母親にニューヨークのジャズクラブに連れられて行ったそうです。
彼女はニューインドランド音楽院でジャズとクラシックを融合した「サード・ストリーム」プログラムを専攻し、その後ジャズ学科に転向しジャッキー・バイアードに師事したそう。現在はマンハッタン音楽大学のジャズ学部の教員を務めています。
ジャズミュージシャンはツアー中心の活動になるとかなりハードでかなり私生活も制限されるので、教員になる人は多いですね。ジャズミュージシャンが自分の好きなペースで音楽を作って生計を立てるのは(ロックミュージシャンなどとは違って)かなり難しいですし。

The Jamie Baum Septet『In This Life』

残念なことにサブスクサービスで聴くことはできないのですが、彼女の2013年リリース『in This Life』は、彼女のインド音楽への興味がもっともストレートに表れたアルバムです。

1曲目が”Nusrat”というパキスタンのカッワーリ歌手、ヌスラット・ファテ・アリ・ハーンへのオマージュとして書かれた曲です。
そのほかにも7曲目”The Game” と11曲目”Sweet Pain”という2曲でヌスラットの曲を取り上げていますね。ダン・ワイスがタブラを叩いています。ジャズミュージシャンでヌスラットのカバーしている人は他にいないんじゃないかな?
ヌスラットもこのブログで取り上げた大好きなミュージシャンなので(→こちら)こういうジャズアレンジのカバーを聴くのはうれしいです。