James Carter Organ Trio『 Live From Newport Jazz』レビュー

James Carterの新作『 Live From Newport Jazz』

現代ジャズサックス最高峰のパフォーマーであるJames Carterが新作アルバム『James Carter Organ Trio: Live From Newport Jazz』を2019年8/30にリリースしたので、そのご紹介

このアルバムは2018年のニューポート・ジャズフェスのライブ音源のようです。
James Carter Organ Trio
James Carter (sax)
Gerard Gibbs (hammond organ)
Alexander White(drums)
バックはカーターとの共演も長いレギュラー・オルガントリオですね。

トラックリストを見ると全曲フランス語のタイトルであることに気づくのですが、6曲中5曲がジャンゴ・ラインハルトの曲を選んでいるようです。

Chasin’ The Gypsy

ジェイムズ・カーターというと『Chasin’ The Gypsy』でもラインハルトを取り上げたりジプシー・ジャズのアルバムをリリースしていましたね。
この時のメンバーはアコーディオン、ナイロンギター、ヴァイオリンなどジプシー・ジャズらしい楽器編成だったのですが、今回はオルガントリオでジプシー・ジャズに挑戦するというなかなか謎な試みですね。
ただ、カーターはいつもリスナーの期待をちょっと外したアルバムをリリースするので、彼らしいチョイスだなとは思います

ここでまず1曲目の『Manoir de mes rêves』のジャンゴ・ラインハルトによるオリジナル演奏を紹介

曲だけを聴くと特にジプシー風という訳でもなく、スローテンポのスタンダードナンバーという感じなのですね。

これをさらにオルガン・トリオで演奏すると、ほぼジプシーっぽさはゼロになっていますね。
オルガン・トリオとジプシー・ジャズの融合を目論んだのかもしれないですが、完全にオルガントリオ要素が勝っちゃっている感じです。

カーターには珍しいソウルジャズ

ジェイムズ・カーターのオルガントリオというと『At The Crossroads』のようなストレートアヘッドジャズなアルバムと、『Out Of Nowhere』『Heaven On Earth』(これはトリオじゃないけど、、)といったアヴァンギャルド路線のアルバム、だいたいどちらかのタイプだったように思います。

アルバムの数は多いですけど、意外にソウル/ファンク路線のアルバムは無かったんですよね(今どきオルガントリオでソウルジャズはさすがにダサいと思ったのかも)

そういう意味でこのアルバムでは『Melodie au Crepuscule』の曲の間にBill Withersの “Use Me”を挟んだりして、これまで以上にソウルっぽい演奏が聴けます。もうこれだけで最高じゃないですか。
このアルバムはブルーノートの第一弾のアルバムということみたいなので、レーベルカラーを意識しての路線変換なのかもしれませんね。