今回取り上げるのは、ポーランドのジャズグループであるEABSが、同じロンドンのAstigmatic Recordsに所属しているパキスタン系グループJaubiのメンバーと共演し、EABS meets Jaubiという名義でリリースしたアルバム『In Search of a Better Tomorrow』
2021年にリリースされた、パキスタン・ラホール出身の4人組Jaubiのセカンドアルバム『Nafs at Peace』は素晴らしいアルバムで、このブログでも取り上げました(こちら)
Jaubiのアルバム『Nafs at Peace』には、EABSの中心メンバーでもあるキーボード奏者のLatarnik(Marek Pędziwiatr)も参加していましたね。
クレジットではEABS meets Jaubiと、なんとなく共演・コラボっぽいタイトルにしているのですが、アルバムを聴く限りでは音楽的な主導権はEABS側が握っているような印象で、Jaubiはゲストという立ち位置なんじゃないかと思っています。
参加したJaubiの3人のうち目立っていたのはタブラくらいだし、そのタブラもあくまでEABSの演奏する西洋音楽的なリズムに合わせたという感じでした。
このアルバムを聴きはじめた時はJaubiの演奏を(インド音楽要素を)聴けるかと思っていたので、この辺りは正直期待した内容じゃなかったですね。
「Madhuvanti」という曲がいちばんJaubiっぽい(=インド音楽っぽい)曲なのですが、「全部こういうのが良かったんだけどな」とは思いました。
ただ、そういう先入観を取っぱらって聴いてみると、この『In Search of a Better Tomorrow』は悪くない、というかかなり良いアルバムと思います。
EABSの音楽は「スピリチュアルジャズ」と例えられることもあるようですが、どうだろ?わかるような、わからないような。
こちらはアルバムリリースの少し前に公開されていた動画
この動画はアルバムとほぼ同じメンバーだと思います。ライブということで曲も長めで、トランペットソロも聴けるなど、ライブとは違った雰囲気です。
わたしが聴いた感じでは、エレクトリックベースの印象的なロングトーンであるとか淡々とリズムを刻むドラムとか、エレクトリック・マイルスに近いように感じましたね。
むしろEABSの演奏の方が本家よりもエレクトリック・マイルスっぽい印象かも。
(エレクトリック時代のマイルスも、いま改めて聴くと意外にそれっぽい感じはしないですからね。ジェイムズ・ブラウンのアルバムをいま聴いてもそこまでファンクっぽく感じない、みたいな話です)
エレクトリック・マイルス的な要素だけではなく、ニューエイジミュージックかと思わせるような「エモい」感じの曲調だったり、もちろんJaubiメンバーによるインド要素だったりと、いろんな要素を振り幅大きくちりばめていて、そこがEABS meets Jaubiのオリジナリティとなっているんだと思いますね。
Members of EABS:
Marek “Latarnik” Pędziwiatr – Grand piano, Fender Rhodes Mark II, Nord Stage 2, Moog Voyager;
Marcin Rak – Drums;
Paweł “Wuja HZG” Stachowiak – Bass guitar, Moog Little Phatty;
Olaf Węgier – Saxophones: tenor, sopran; bass clarinet;
Jakub Kurek – Trumpet;
Members of Jaubi
Ali Riaz Baqar – Guitar
Kashif Ali Dhani – Tabla, Vocals
Zohaib Hassan Khan – Sarangi